さんUぼっち・ざ・ろっく!部🎸 (501)

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120 - 名無しさん 2023/02/11(土) 21:09:33 ID:LKy-FCE30D-C162

私はタクシーで東京駅まで行き、乗車口で降りた。駅の構内を横切る間も、切符を買う間も、みな子にあいはせぬかと思って気が気でなかった。渋谷へ行ったみな子に東京駅であうはずがあるものかなどという理屈は、こういう異常時の人間の心理を知らぬものの屁理屈だ。私は改札口を走るようにして通りすぎる間も、薄暗いトンネルを抜ける間も、ずっとそれを心配しつづけた。そしてプラットホームへ上がると同時に、そこに立ったり腰をかけたりしている老若男女をほとんど一人々々しらべてみた。もっとも、それはほんの二三秒間か、せいぜい五秒位しかかからぬ間にであったけれど。
 私は二等の方が乗客が少なく、したがって知人にあうプロバビリティが少ないと判断して、二等の切符を買ってきたのであるが、いざという時になって、ふっと気が変わって三等に、しかも一番こみあっている箱を選んで、それに乗った。それは、乗客が混んでいれば、たとい知人と同乗しても、発見される恐れが少ないと気がついたからだ。