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エッヂの名無し (L11 IUu1-434r)
2024/09/22(日) 18:35:20.555 ID:EpmG7dCRd
思わず悔し泣き 文=野平祐二
アメリカ、カナダの馬が上位を独占するゴールインをみて、私は不覚にも涙がこぼれてしまった。
悔し泣きである。完ぷなきまでに打ちのめされた日本の馬に、関係者のひとりとして、私の絶望感は深い。
日本の競馬史はおよそ百年。馬券の売上高という点では現在、大きな隆盛を迎えて、私たち厩舎人も、先輩たちの技術を受け継いできた。その結晶の一つがさきの天皇賞であったと思う。三千二百メートル3分18秒9の大レコード。そして上がり35秒2の瞬発力の素晴らしさに、日本のサラブレッドの大きな向上がはっきりとみられた。
その天皇賞1、2着馬ホウヨウボーイとモンテプリンスの2頭が、外国勢に歯牙にもかけられなかったのである。私はハンマーで頭を殴られたようなショックを受けている。
私はこの一週間、サンスポ紙上で「外国馬診断」のタイトルで、招待馬のパワー、走法などを紹介してきた。その最終回で、私がスピードシンボリとともに何度か海外遠征したときの苦労を引きあいに出し、外国の馬も日本にくれば苦労しているはず、これなら日本の馬が有利ではないかと書いたが、こんな”ヘリクツ”は外国馬の強烈なパワーと、外国勢の関係者の高度な調教技術の前に、こっぱみじんに吹き飛ばされてしまった。
スタート前のザベリワン、ペティテードがイレ込み、汗びっしょりだったのをみて、こいつはますます日本有利と思ったのもつかの間のことであった。
日本の社会はとかくヘリクツが多く、その中でも競馬サークルはそれが多すぎる。しかし、そんな日本の競馬サークルのヘリクツ、具体的にいうと、今回の結果についても、どこからかいいわけが出るかもしれないが、そんなものをすべて外国勢は強いものは強いんだという単純明快な理論で有無をいわせずにネジ伏せてしまった。
技術の差だけなら、今後の努力しだいではアメリカ、カナダに追いつくことが可能かもしれないが、それ以前のサラブレッド生産、育成に適した風土の違いという決定的な理由が、第一回JCの結果に端的にあらわれているような気がしてならない。だから日本の競馬の前途が暗たんたるものになるのではないかという危機感と絶望感を私は持つのである。私たちの代では果たして日本の馬がJCのゴールを1着で通過するのをみることができないのではないかと思うほど大きな失望を味わされている。
彼我のサラブレッドの生産とレースの差、そして馬にかかわる人間の実力の差を思い知らされないわけにはいかない。馬術ひとつとっても、日本で15〜20年やった人でも、外国に行けば一年生。この差は大きすぎる。優勝した十九歳のアスムッセン騎手のなんと堂々としていたことか。ムチの使い方ひとつとっても、ただ叩くだけではなく、鋭くナデるように打つことによって馬がぐんと伸びている。しかも、上位にきた外国の騎手四人は冷静にペースを守って乗っていた。ヘッドワークの差もはっきりと出ていたのである。
これまで日本の騎手の技術は世界的なレベルに達しているといわれてきたし、私もかつては現役だった一人としてそう自負してきたが、この日の彼らの勝負のどたん場にきて馬をふるいたたせ、ゴールへ向かって馬を伸ばすテクニックの前に、素直に脱帽しなければならないだろう。
ひとことでいえば、馬も人もすべて外国勢がはるかに上だった。日本の競馬の道は険しい。
アメリカ、カナダの馬が上位を独占するゴールインをみて、私は不覚にも涙がこぼれてしまった。
悔し泣きである。完ぷなきまでに打ちのめされた日本の馬に、関係者のひとりとして、私の絶望感は深い。
日本の競馬史はおよそ百年。馬券の売上高という点では現在、大きな隆盛を迎えて、私たち厩舎人も、先輩たちの技術を受け継いできた。その結晶の一つがさきの天皇賞であったと思う。三千二百メートル3分18秒9の大レコード。そして上がり35秒2の瞬発力の素晴らしさに、日本のサラブレッドの大きな向上がはっきりとみられた。
その天皇賞1、2着馬ホウヨウボーイとモンテプリンスの2頭が、外国勢に歯牙にもかけられなかったのである。私はハンマーで頭を殴られたようなショックを受けている。
私はこの一週間、サンスポ紙上で「外国馬診断」のタイトルで、招待馬のパワー、走法などを紹介してきた。その最終回で、私がスピードシンボリとともに何度か海外遠征したときの苦労を引きあいに出し、外国の馬も日本にくれば苦労しているはず、これなら日本の馬が有利ではないかと書いたが、こんな”ヘリクツ”は外国馬の強烈なパワーと、外国勢の関係者の高度な調教技術の前に、こっぱみじんに吹き飛ばされてしまった。
スタート前のザベリワン、ペティテードがイレ込み、汗びっしょりだったのをみて、こいつはますます日本有利と思ったのもつかの間のことであった。
日本の社会はとかくヘリクツが多く、その中でも競馬サークルはそれが多すぎる。しかし、そんな日本の競馬サークルのヘリクツ、具体的にいうと、今回の結果についても、どこからかいいわけが出るかもしれないが、そんなものをすべて外国勢は強いものは強いんだという単純明快な理論で有無をいわせずにネジ伏せてしまった。
技術の差だけなら、今後の努力しだいではアメリカ、カナダに追いつくことが可能かもしれないが、それ以前のサラブレッド生産、育成に適した風土の違いという決定的な理由が、第一回JCの結果に端的にあらわれているような気がしてならない。だから日本の競馬の前途が暗たんたるものになるのではないかという危機感と絶望感を私は持つのである。私たちの代では果たして日本の馬がJCのゴールを1着で通過するのをみることができないのではないかと思うほど大きな失望を味わされている。
彼我のサラブレッドの生産とレースの差、そして馬にかかわる人間の実力の差を思い知らされないわけにはいかない。馬術ひとつとっても、日本で15〜20年やった人でも、外国に行けば一年生。この差は大きすぎる。優勝した十九歳のアスムッセン騎手のなんと堂々としていたことか。ムチの使い方ひとつとっても、ただ叩くだけではなく、鋭くナデるように打つことによって馬がぐんと伸びている。しかも、上位にきた外国の騎手四人は冷静にペースを守って乗っていた。ヘッドワークの差もはっきりと出ていたのである。
これまで日本の騎手の技術は世界的なレベルに達しているといわれてきたし、私もかつては現役だった一人としてそう自負してきたが、この日の彼らの勝負のどたん場にきて馬をふるいたたせ、ゴールへ向かって馬を伸ばすテクニックの前に、素直に脱帽しなければならないだろう。
ひとことでいえば、馬も人もすべて外国勢がはるかに上だった。日本の競馬の道は険しい。