1 名前が出りゅ!出りゅよ! (sage) 2015/07/26(日) 23:56:58 ID:tTsTNR7M
人は必ず死ぬ。絶対死ぬ。
死は避けられない。
これは自然の摂理であるが、今は昔のこととなりつつある。
世界をインターネットが繋ぐようになり情報化社会をもたらした。
人々は遠く離れた人と簡単にコミュニケーションをとれるようになり、それと同時に人々は自らの考えを世界に発信できるようになった。
そんな世界が当たり前になりしばらくした頃のことである。
ネットワーク上に記憶を移し永遠の命を手に入れる。そんな計画が現実のものとなっていた。
2 名前が出りゅ!出りゅよ! (sage) 2015/07/26(日) 23:59:20 ID:tTsTNR7M
そう、ここは僕らのネットワークだ。
かつて僕もリアルに生きる人間だった。ここに来てからは、自由と永遠を手に入れた。
何も恐れることはない。ここでは全てが手に入る。
皆が僕を見てくれる。それだけで僕は嬉しかった。
外の世界に興味がないと言ったら嘘になる。
でも今更どうすることもできなかった。
噂では外の世界に戻る方法があるらしい。
それが何なのか知るものは僕の周りには誰一人としていなかった。
全てを手に入れたら幸せになれると思っていた。
でもいざ全てを手に入れると、それは思っていたよりもちっぽけでさみしいものだった。
僕は過去の自分の愚かさを恨んだ。
どうしてこうも簡単なことに気がつかなかったのだろう。
泣いた。
僕の知っている僕に戻るにはどうしたらいいのだろう。
この世界の外に出る方法を模作し続けた。
そして僕はひとつの答えにたどり着いた。
それがこの世界でのタブーを犯すことになることは承知の上である。
「開き直る・・・ワイが長谷川や!」
言った。言ってしまった。
もう後戻りはできない。
いや違う、後戻りするためなんだ。
止まった時間を巻き戻すには、呪いを解くにはこれしかないんだ。
自分にそう言い聞かせる。後はもう知ったことではない。