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超越神力vs超越神力

26 レス · dat原文

『緊急警報!緊急警報!』 『死刑囚一名が脱獄!』 『職員は直ちに向かえ!!』 刑務所に鳴り響く警報。死刑囚一名が脱獄したのである。 緊張感、空気の騒めきが走っているのは刑務所内だけではない。刑務所の外、入り口を固める刑務官たちにも同様に走っている。 「時間的にはそろそろ出てくる頃だ!」 「対象を見つけ次第……… -----------* 所変わってここは死刑囚がいた独房。 脱獄したのは掃除された直後だろうか。 彼がいた所にしては部屋がやたらと綺麗である。 ……ひどく歪み、大穴の空いた壁を除いては。 「これは一体…こんなことが可能なのでしょうか………」 若い刑務官が目を丸くする。 一方、老いた刑務官は神妙な面持ちで大穴を調べている。 「……可能だろう。現に出来たのだ、奴なら。」 「奴の持つ、超越神力ならば……!」 -----------* 囚人服の男を待ち伏せている刑務官たちだが、一向に出て来ない。 陣頭指揮をとる上司は眉をひそめる。 「おかしい…なぜ出て来ない…捕まってはいないぞ……?なぜ出て来ないのだ………松本智津夫は 「麻原彰晃だ。」 自らの呻きを遮る背後からの声に、思わずばね仕掛けのように振り返る刑務官。 だが、彼は麻原の姿を見ることはできなかった。 直後に超越神力に当てられ、気を失ったからである。 一瞬あっけに取られた部下達だったが、本来の勇敢さを取り戻して麻原を組み伏せようとする。だが、それも叶わなかった。 そもそも、麻原のもとへ走り寄ることさえできないのだ。 まるで糸でがんじがらめにされているように、動けない。 「超越神力だ。しばらく上司と共に眠っていろ。」 「私の望みが果たされるまで……」 皆の視界が、暗くなる。
「うーん…これは大変なことになったなあ…」 『松本智津夫死刑囚 脱獄』 そう書かれた新聞をしばらく見つめていた山岡であったが、唐澤の声に気を取られた。 「山岡くん、山岡くん、今何時ナリか」 腕時計をしていない彼は山岡に腕をまくらせる。 「2時40分ですね。そろそろ行きましょうか。」 「●はい。」 法律事務所クロスは本来依頼者から尋ねるのが常であり、呼び出しを食らうと唐澤は嫌な顔をする。不平不満ももらす。 しかし、今回ばかりは流石に彼もそういうわけにはいかないようだ。 当然だろう。長谷川からの2度目の依頼なら。不満も大きいが、申し訳なさが先立つ。そう考えること自体何だか不謹慎な気もする。 ところが、30分も待たされると流石に不満も漏れるだろう。いつもは叱る山岡すら耐えられなくなってきた。 「一体どうしたんでしょう長谷川くんは。遅刻…にしては変な気もしますが。」 「知りません。もう知ったことか。当職はもう出て行くナリよ。遅れてきたチンフェが悪いナリ。」 「いや、それは……あーあー。ちょっと待ってくださいよ…」 唐澤は待ち合わせの喫茶店から出て行ってしまった。山岡はとりあえず料金を払い、唐澤を追いかける。 こうやってまっすぐ帰ってしまうから、全くうちの唐さんは…と言おうとしたが、結局山岡は言わなかった。 すぐに見つけたからである。道で立ち止まる唐澤を。 「あれ、唐さんどうしたんですか。戻りましょうよ…」 言った後に気付く。唐澤は何者かと対峙している。 「あれ?唐さん、その方は?」 紫のポンチョ。伸びきった髭、髪…… 「あ、麻原彰晃?!」
唐澤が麻原と対峙したのは数秒前である。きっと超越神力だろう。彼の前にいきなり姿を現したのだ。 両者とも、驚く山岡に目配せもしない。 「お前が唐澤貴洋だな。」 「あなたが麻原彰晃か。実物を見るのは初めてナリ。」 「た、大変だ、早く通報しないとっ…?!」 山岡は慌てて通報しようとするが、携帯を取り出した瞬間にそれは捻じ曲がり、乾いた音を立てて割れてしまった。 山岡は思わず取り落とす。 おもむろに麻原が口を開く。 「唐澤。あれを見ろ。」 麻原の指の先を辿ると、そこにはビルに縛り付けられた長谷川がいた。気を失っているのだろうか。白目を剥いたまま、微動だにしない。 「長谷川くん?!なぜあんなところに!」 「超越神力だ。おい、唐澤!依頼人を取り戻したければ、私を殺してみせろ!」 麻原が手を前に突き出す。 「山岡ァ!逃げろ!」 唐澤が叫んだ瞬間、空気が唸る音と共に、2人の弁護士は吹き飛んだ。 肥きった身体のおかげであまり飛ばされなかった唐澤は、超越神力で上手く受け身を取ることができたが、その二つとも持たない山岡は電柱にまともに叩きつけられる。 かろうじて意識は保つものの、立ち上がれなくなった山岡。 そんな彼に目もくれず、麻原はさらに唐澤に追撃を加える。 超越神力で身体能力を急激に高めると、空中浮揚したまま唐澤に突進し、鋭い蹴りを加える。 だが、唐澤も最終解脱者である。ただの蹴りが通用するはずもなく、麻原の足は空中で止まった。そして、逆の方向に吹き飛ばされ、地面に転がされる麻原。 両雄が立ち上がったのは、ほぼ同時であった。
2人は同時に右手を安らかに掲げ、優しく左手を差し出した。与願印と施無畏印の形である。この釈迦の構えの中に、超越神力が集中する。そして。 どちらかが発した掛け声と共に、2人の覚者の相反する超越神力が激突し、均衡する。 麻原の髭は激しくなびき、唐澤からは玉のような汗が落ちる。コンクリートに亀裂が走り、近くの電柱も表面が割れ、中を覗かせる。 それでもなお、両者の力は均衡を保つ。やがて大気も歪み、近くの建造物もミシミシと音を立てる。身動きがとれない山岡の電柱も同様だ。何より山岡自身もひしひしと強い力を感じている。 「く…そ…早く離れなければ…」 そんな山岡に肩を貸す弁護士がいた。駆けつけてきた山本である。 「大丈夫っすか山岡さん!ここから離れましょう!」 ビキビキと唸りを上げていたコンクリートであるが、その亀裂は徐々に唐澤の方へと寄ってきた。つまり、押されているのである。唐澤が。 ダメ押しだ、と言わんばかりに麻原は力を込める。刹那、唐澤の手元で大きな音が鳴ったかと思うと……唐澤の巨体は風を切り、遥か後方の壁に打ちのめされた。 力無く地面に崩れ落ちる唐澤。
「期待外れだな、唐澤。お前に尊師の称号はやれん。」 横たわる無能にゆっくりと歩み寄る麻原。しかし、その歩みを止めた男がいた。 山本を振り切り、駆け寄ってきた山岡である。立ち上がるのもやっとだが、それでもなお対峙している。 「まて……麻原…ここを通すわけには…」 麻原はフンと鼻を鳴らす。 「どけ、邪魔だ。」 そう言った直後、その側に山本も立ち塞がる。足は震えているが、目は震えていない。 「………」 麻原は無言で手を振り上げる。超越神力で殺害するつもりなのだ。 ところが、彼は手を振り上げたまま固まった。足も胴体も、微動だにしない。表情だけが驚きに満ちている。 微動だにしないのではない。できないのだ。唐澤の超越神力によって。 2人の弁護士が立ち塞がる間、唐澤は立ち上がっていた。 「か、からさわァ…」 麻原が呻く。 「山岡くん。山本くん。下がっているナリよ。」
「お……の……れ……」 動けない麻原には目もくれず、唐澤は座禅を組んで中空に浮かび上がる。 不思議なカリスマが空中に漂い、やがて、世界を覆った。 「我々はチームになりつつあります。声なき声に力を。」 山本と山岡は、思わず喉から声が出て行くのを感じた。「「声なき声に力を。」」 -----------* 意識が混濁している長谷川。だが、夢現つの中でも温かい何かを感じ、口から漏れだす。「声なき声に力を。」 -----------* 父洋は、息子が戦っているのを第六感で感じ取っていた。彼は息子の為に呟く。「声なき声に力を。」 -----------* 長谷川家の庭では、主人の身を案じてか、陶器が叫んだように見えた。「声なき声に力を。」と。 それを見た母幸恵は、同調するかのように小さく呟く。「声なき声に力を。」と。 -----------* 刑務所にて捜査をおこった面々は、皆一様に呟く。「声なき声に力を。」 -----------* ようやく目を覚ましつつある気絶させられた刑務官たちは、まだ重い頭を抱えながら不思議と呟く。「声なき声に力を。」 -----------* パソコンの前の恒心教徒は、ふと思い出したかのように呟く。「声なき声に力を。」 -----------* 会計士会長は、思わず自分を笑った。疲れからか、「声なき声に力を」などと呟いてしまったからだ。 -----------* 今や皆が口に出していた。あるものは持病の幻覚によって。あるものは何となしに。あるものは90dBで。世界が叫んだ。 『声なき声に力を。』 全てが唐澤尊師に集まる。 「新しい時代を。」 核の光が麻原を包んだ。
唐澤が静かに地面に着地した時は、もう闘いは終わっていた。 長谷川は無事に降ろされていた。 唐澤に駆け寄り、無事を確認しあう2人の弁護士。 だが麻原はまだ生きていた。 ボロボロになりながらも歩み寄り、そして唐澤の側へ。崩れ落ちるように膝をついた。 それに警戒する山岡と山本。しかし、それとは対照的に唐澤は優しく尋ねる。 「なぜこんなことをしたナリか?」 麻原は唐澤を見上げる。かつてオウム真理教の信者達が彼にしていたように。 「見抜いていたか…もう余力が無いことも……殺す気が無かったことも…」 山岡と山本は目を丸くする。一方唐澤は肯定の意を込め、軽く頷く。 「私はこのまま処刑される身…だが、逃亡していた信者達が捕まり、いざ死刑が現実的になった時……思ったのだ……冷たい処刑台に殺されるよりも、私に代わって……尊師と呼ばれた男に殺されたいと………」 「私もかつてはお前のように信者に囲まれていたものだ……自分をかばって立ち塞がるような信者に………」 「間違いを犯した私を終わらせて欲しいと………裁判の判決よりも……お前にポアされたいと…思ったの……だ…」 「望みは叶った……ありがとう尊師………KRSW尊師…………」 そう言うと麻原は目を閉じ、かざされた唐澤の手の下で、静かに息を引き取った。 「………愛なき時代に、愛を。」
ええ
迫力あるバトル描写が秀逸 たまにはこういう作品もいいと思いますを
ドラゴンボールかな、これ
声なき声に力を。
流れ星のオマージュ?
バトル恒心で草
超越神力万能すぎだろ
名作やん バトル恒心路線流行って欲しい
童夢を思い起こさせる描写
素晴らしい
面白い
これはMMD映えよさそう
これ好き
ハッセ、クロスの2人巻き込まれ死亡説
これハチャメチャなバトル物に見えるけど丁寧な表現力や見せ場への怒涛の盛り上がりなど作者の地力が力強く使われている名作ですを 名作との出会いに感謝
核投下跡地
核投下跡地
核投下跡地
ムツケーにこれの影響受けて作品作った芋が居て麻 https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/25445/1595864893/171