思い出広場検索板メニュー
板一覧 / tulipplantation_2024q3

詩を詠む

17 レス · dat原文

「来ました」 「詠みますね」 https://i.imgur.com/SxNhKlQ.png □おすすめ設定 1、専ブラのsikiをダウンロード(https://sikiapp.net/) 2、voicevoxをダウンロード(https://voicevox.hiroshiba.jp/) 3、プラグイン「voicevox_test」をダウンロード(https://sikiapp.net/plugins/) 4、プラグイン内「index.js」ファイルをテキストソフトで開き、「defaultSpeaker」の数字を0から47へ変更 5、sikiを起動し、左上の「三」ボタン→ツール→場所を開く→設定の場所を開く→pluginsフォルダ内に3をおく 6、sikiを再起動 7、voicevoxを起動し、そのまま放置 8、右クリック→スレッド操作→オートスクロール→読み上げを選択 9、スレURLをコピーしてsikiでスレを開く 10、右下▲クリックしてスレを読み上げ再生
「死なない蛸」 「萩原朔太郎」
 或る水族館の水槽で、ひさしい間、飢ゑた蛸が飼はれてゐた。
地下の薄暗い岩の影で、青ざめた玻璃天井の光線が、いつも悲しげに漂つてゐた。
 だれも人々は、その薄暗い水槽を忘れてゐた。もう久しい以前に、蛸は死んだと思はれてゐた。 そして腐った海水だけが、埃っぽい日ざしの中で、いつも硝子窓の槽にたまつてゐた。
 けれども動物は死ななかった。蛸は岩影にかくれて居たのだ。
そして彼が目を覚(さま)した時、不幸な、忘れられた槽の中で、幾日も幾日も、おそろしい飢饑を忍ばねばならなかつた。どこにも餌食がなく、食物が全く尽きてしまつた時、彼は自分の足をもいで食つた。
まづその一本を。それから次の一本を。
それから、最後に、それがすつかりおしまひになつた時、今度は胴を裏がへして、内臓の一部を食ひはじめた。少しづつ他の一部から一部へと。順々に。
 かくして蛸は、彼の身体全体を食ひつくしてしまった。外皮から、脳髄から、胃袋から。どこもかしこも、すべて残る隈なく。 完全に。
 或る朝、ふと番人がそこに来た時、水槽の中は空つぽになつてゐた。曇った埃っぽい硝子の中で、藍色の透き通った潮水と、なよなよした海草とが動いてゐた。
そしてどこの岩の隅隅にも、もはや生物の姿は見えなかつた。蛸は実際に、すっかり消滅してしまつたのである。
 けれども蛸は死ななかつた。
                             ○○○ 彼が消えてしまつた後ですらも、尚ほ且つ永遠にそこに生きてゐた。
古ぼけた、空つぽの、忘れられた水族館の槽の中で永遠に――おそらくは幾世紀の間を通じて――或る物すごい欠乏と不満をもつた、人の目に見えない動物が生きて居た。
「ありがとうございました」 「またきますね」 https://i.imgur.com/SxNhKlQ.png
欠乏かあ