さんUぼっち・ざ・ろっく!部🎸 (501)

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123 - 名無しさん 2023/02/11(土) 21:11:11 ID:uZ7-E8F6d3-AB62

 ――やっぱりあいつはみな子にちがいない。あいつは私が昨夜本の間へはさんでおいた手紙をそっと盗み見したのだ。ことによると、私が帰らぬさきに、そっと開封して何食わぬ顔をしていたのかも知れぬ。そして伯母の家へ行くなんて、いい加減な口実をつくって、私のあとをつけてきたのだ。そうにきまっている。いま懐中鏡を取り出したのは、私の行動を監視するためにちがいない。――この考えは、私の心中に何とも抑えきれない憎悪を煽った。私はもう少しで、人前をもかまわず、ずかずかっと彼女のそばへ走りよって、力一ぱい彼女の横っ面を殴りつけてやるところだった。じっさい私にはある感情特に憎悪の感情が極度に昂じてくると、紳士的体面などは一銭銅貨のように投げすててしまい兼ねない傾向があるのだ。がそれと同時に、彼女に極度の憎悪を感じながら、自分が彼女を憎んでいるというだけの理由で、彼女がこの上なくあわれっぽくなってきた。ほとんど涙が出そうになったくらいだった。
 そうしてこういう矛盾した考えがすぐおこってきた。