10 核撃てば尊師 2013/05/25(土) 00:00:32 ID:aNepJd8s0
私はカッターの刃を彼に向け、それを彼の背中に突き刺そうと駆け出す体勢のまま固まっていた。心臓は飛び出さんばかりに大きく音を立てていて、動かし方を忘れた体はピクリともしない。嫌な汗が額を伝った。部屋にあるすべてが止まって見えた。時計も、ラジオも、鏡も、机も。けれども時間は確かに、ゆっくりとその間を流れていて、それを貫くように洋一の視線が私をじっと捉えていた。