30 無名弁護士 2017/08/14(月) 19:04:47.07 ID:L177Oavw0
西暦2027年(恒心9年)1月4日、河川の畔にある住宅の一室で、ある弁護士が49歳の誕生日をひっそり迎えていた。
机に敷いた布(クロス)の上には今まで弁護士として関わってきた依頼人たちの写真が並べられている。
父は昨年亡くなり、仲間の弁護士達もオーストラリアに旅立ってしまった。彼はひとりぼっちだ。
しかし写真は彼の生きた証としてここに残っている。写真は撮られたその瞬間から過去を写す窓となる。
彼はふと手に取った写真に写る一人の高校生の輪郭を太い指でなぞった。「始まりの男……」彼は確かめるようにそう呟いた。
その写真は撮ったその瞬間のみならず15年前から続く彼の闘いの記憶をも呼び起こした。