539 これは架空の弁護士貴洋弁護士を使ったシェイクスピアのパロディです 2017/06/28(水) 22:21:28.73 ID:yONWY6ZTi
貴洋の人生はこれ一つの舞台、全ての人間は演者であり観客である。
客席から舞台に引き摺り出されるものがいれば、静かに舞台から消え行くものがいる。
舞台は七幕に分かれているのだ。
始まりはいつも赤ん坊でした、父洋に抱かれて泣いたり漏らしたり。
次は泣き虫小学生、鞄ぶら下げ、高級車に乗せられて、降りる姿は豚のそれ、嫌々ながらの学校通い。
さてその次は哀れな中学生、蛇さえ竦む不良の眼光に当てられて、恨みを込めて差し出すは妬みに妬む己が弟。
次に演ずるは弁護士、怪しげな正義の誓い並べ立て、ダンボールバッヂ胸元につけて、むやみやたらに喧嘩っ早く、正論突きつけられてもなんのその、求めるのは泡のごとき賞賛のみ。
それに続くは炎上芸人、小遣いの高級料理詰め込めば腹は立派な太鼓腹、髪は捻れて襟飾歪み、体躯は見事な五頭身。被害者面して押し付けがましい持論を言えれば、如何なる阿呆も果たせる役。
さて第六幕ともなれは、呆れ果てるほどに肥え太って寝床の上で糞を垂れながす惚け爺。冷蔵庫には高級食材、家にはしっかり侍女をつける。父洋は遺産を大事に作っておいたのに、貴洋を支えるには少なすぎ、数多にあった財産もあっという間に底をつく。
そして最後の大詰めは、すなわちこの波乱に溢れた七十年契約を締めくくる終幕は、始まりの青年、人生の報復、本物のナイフ。
守るものはなく、悲しむものはなく、怒るものはなく、二人の他になにもない。