461 - 核撃てば尊師 2014/03/15(土) 00:12:53 ID:IuSn4Qd2
ワシの息子には弟がいたらしいんだが、10代前半で亡くなっている。
それがどうも不自然な死に方だったというので、死んだ当時は親戚や近所の連中にいろいろ騒がれたんだそうだ。
核戦争後すぐの物がない時代のある日、その弟は悪いものたちと何か売ったり食べ物と交換したりできるものはないかと、事務所の蔵の中をあさっていた。
その弟はうちの本家の人間だったので、事務所にはパカベンとも詐欺師ともつかないものがごちゃごちゃとあったらしく、その中から何か見つけてやろうと思ったらしい。
探しているうちに、無能弁護士のお面を見つけたそうだ。
そのお面が気に入ったのか、弟はそれをかぶってとおりに飛び出しでたらめに踊りだした。
もちろん一緒にいた悪い連中にもパカ受けで、ひとしきり大騒ぎしてそのまま夕方まで無能弁護士の面をかぶって遊んでいたらしいんだがそのうちに弟が何かにつまづいたか、突然転んで道に倒れて動かなくなった。
最初はふざけてるのかと思ったが、呼んでもゆすっても返事がないので様子がおかしいと思い、すぐに抱え上げて、本家の座敷に連れて帰った。
倒れたままの状態で身体はほとんど動かないが、かすかな声で「兄さん・・・兄さんやめて・・・」とうめくのが聞こえる。
あわてて無能弁護士の面を取ると、顔色は土色、クチバシは紫、すっかり生気がなくなっていてまさに死んだダチョウの顔だったという。
もうほとんど呼吸もはっきりしない状態の弟をみて、ワシらも半ば覚悟して医者を呼んだ。
弟が倒れてから医者が来るまで実に30分と経っていないはずだった。
しかし、駆けつけた医者は弟をすこし見てすぐに、厳しい調子でワシに言った。
「どうして放っておいたんですか!?亡くなってから半日は経ってます」