1 - 一般別荘保有者 ★ 2022/08/08(月) 17:04:38.16 ID:uoL90gV00
「たかひろ!残暑見舞いを書いたんですけどどの切手がたかひろの好みですか?好きな切手を選んでくれたらそれで事務所に送りますよ!」
たかひろのTwitterにDMが来たのは8月上旬であった。しかし今彼がいるのは日本から飛行機で12時間の距離にある異国の地、ドバイ。その旨返信するとななののからは意外な返事があった。
「じゃあ今から行きますね!ホテルと部屋番教えて!」
2時間後には
「ちょっと手荷物検査でトラブったけど今から飛びます!」
さらに13時間後には彼女はTwitterで
「ドバイファウンテン涼し〜〜〜」
と呟いていた。たかひろは時々彼女の積極性にドキッとする。しかし彼女は既婚者。だからいつも下半身の火照りは自分で処理するしかなかった。
関係者の目を避けて二人は落ち合った。
「ななののさん、困るナリ……!」
たかひろは声を落としたが、ななののはそんなのお構いなし。「海外ってテンション上がるね!」と笑顔でたかひろの左手を掴んだ。その時だった。
「إنه خنزير!」
何処からともなく大柄な現地人が大勢集まってきた。
「なんかやばい!逃げよう!」
ななののはたかひろの手をひねる勢いで駆け出した。
二人は走り人影のない茂みで息を潜めて追手を待ったが、どうやら逃げ切れたようだ。今もしっかりと握られた左手を見て、たかひろは鼓動が速いのは走ったせいだけではないと思った。久しぶりに触れた女性の手は思ったより温かい。しかしこのままではいけない。
たかひろはその顔をこれ以上にないほど困らせて「切手を選んで早く帰りたいナリ。ななののさんに危機が及んだら困るナリ」と言った。
「切手なんだけど、選べなくて100万円分持ってきたら多すぎて入国手続で全部没収されちゃったんだよね……」
「それじゃあドバイに来た意味がないナリ」
「それなー。もう帰るしかないね」
「……ナリ」