16 - 3/3 2023/01/31(火) 11:12:55.26 ID:PUFweYBD0
将来の顧客開拓に成功し、喜ばしい気持ちで自宅に戻ってTVを点ける。
多発しているという強盗事件のニュースを何気なく見ていると強烈な違和感が襲ってきた。
「このビル…」
被害現場として画面に映し出されたビルは見覚えのある、というより今日まさに行った所だ。
混乱する頭を整理しているとインターフォンが鳴った。
こんな真っ昼間に…
「唐澤さんですよね?警察の者ですが」
「事務所の方も伺ったのですが不在とのことで」
急いでドアを開けると2人の警官が矢継ぎ早に質問を繰り出した。
「今日の9時頃からお昼まで何してました?」
「どこ行ってました?」
「それを証明できるものなどありますか?」
答えに詰まる俺を見た警官は丁寧に言い直す。
「本日発生した品川区の強盗事件について何かご存知ではありませんか?」
「可能であれば任意で同行をお願いしたいのですが…」
慌てて手元のスマホでTwitterを開くと、案の定依頼者のアカウントは消えていた。
感じた違和感がすべて綺麗に繋がっていく。
俺が事件現場にノコノコ入っていった事実は周囲の防犯カメラが証明するだろう。
現場からは「物証」として毛髪が発見されて鑑定に回される筈だ。
ホコリと称して引き抜かれた俺の毛髪が。
キッチンには俺の指紋がベットリと付いたカップが落ちているかもしれない。
付いていた粘性の液体は食用油だろうか。
2人の若手警官は目の前で号哭している自分の倍は生きているであろう男の背中をさすりながら、停めているパトカーまで歩を進めた。