136 がん患者さん 2016/08/28(日) 14:44:29.56 ID:8To3jJz80
6 :名前が出りゅ!出りゅよ!:2016/01/30(土) 18:05:35 ID:Av5f203M
唐澤の国に送致された小関直哉は早速裁判にかけられることとなった。彼の裁判は唐澤の国最高裁判所地下法廷にて開かれた。
「被告人、我々は日本とは違い真の文明国であり、今回の裁判には君にもちゃんと弁護人が付きます。 その点は安心してください」
髭を生やした、恰幅の良い裁判長がそう宣言する。
「弁護士の唐澤です」
そう自己紹介した弁護人を見て法廷がどよめく。 何を隠そう、弁護人となったのは小関直哉に海を越え侮辱された当の本人、唐澤貴洋だったのである。
自身を侮辱した人間の弁護をするとは。 その海より深い度量に感動しむせび泣く傍聴人もいる。
「被告人」
おごそかに裁判長が切り出す。
「なぜ、あんなことをしたのですか」
「俺、いや私は日本に誇りを持っているんだよ、悪いかよ、自分の生まれた国家に愛国心を持つ人間としてあの行動は当然のことなのかなぁ、と。」
奇妙な敬語を使いながら、吃音の酷い声で小関直哉が答える。
「ではあなたは、日本への愛国心が高じてあのような事をしでかしてしまったと」
「その点について、検察側の主張と見解を述べさせていただきます」
眼鏡をかけた若い検事が挙手し、割って話に入る。
「被告人は、惨めな人間でした。 驚くべき事に彼は高校でも専門学校でもまともな人間関係を築けず、発展途上国並の時給の小汚いパート仕事を二十代半ばになっても続けていたのです」
陪審員たちがざわめく。冗談だろ、といった声が聞こえる。 裁判長は、静粛にと彼らに注意した。 検事は続ける。