57 がん患者さん 2016/09/14(水) 22:54:54.25 ID:NKrC+b3O0
たかひろカフェに行ったのは、よく晴れた冬の日曜のことだった。
ガラス扉には相変わらず「UNDER CONSTRUCTION」の張り紙があったが、私はかまわず扉を開けて中に入った。
日曜日の昼間だというのに、私以外の客は見当たらなかった。店内には4匹のたかひろと、あごひげを生やした店主が一人いるきりだった。
もっとも店全体をよく見れそうな中央の席に座ると、店主が注文を取りに来た。
少し鼻の大きい彼は、よく晴れた冬の日曜にふさわしい微笑を浮かべた美青年だった。
「ホット・コーヒーを」と私はメニューも見ないで言った。
私にとって大切なのは唐澤貴洋を眺めることだったのだから、飲み物なんてどうだってよかったのだ。
「コーヒーでしたら」、店主は整った顔立ちに愛想のよい笑みを浮かべながら言った。