【唐澤貴洋殺す】雑談★50【お問い合わせ路線】 (1001)

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774 がん患者さん 2016/10/01(土) 18:41:49.37 ID:lmUZX66L0

第(2当裁判所の判断

【中略】
 
 2 争点2について
(1) 前記前提となる事実(1)のとおり、本件掲示板に発信された本件情報自体には、別紙情報目録「投稿情報内容」欄記載の内容が記載されているのみであり、原告らの容貌を撮影した画像そのものは掲載されていない。
もっとも、本件情報は、ハイパーリンクを設定しており、本件発信者は、同情報の閲覧者をリンク先に移行させることを意図していることは明らかである。そして、前記前提となる事実(1)によれば、本件画像のURLと本件情報に記載されたURLが一致している
(これらが書き換えられたり、偽造されたことを裏付ける証拠はない。)ことからすれば、本件画像は、本件情報の一部として取り込まれていると解するのが相当である。
 また、証拠(甲2)によれば、本件画像は道路上を歩く2人の男性を横方向から撮影したもので、必ずしも鮮明とはいえないが、それぞれの顔の輪郭、目鼻立ち、体型や容貌等を識別することができ、原告らを撮影した写真(甲8)と比較しても、
本件画像の男性2人が原告らを撮影したものであると特定することが可能であることからすれば、本件情報は、原告らの容貌を撮影した画像を、本件掲示板を通じて不特定多数の者に閲覧可能にしているものと認められる。
(2) そして、何人も、その承諾なく自己の容貌・姿態をみだりに撮影され、これを公表されないという法的利益を有するところ、原告らは、本件画像を撮影・公表することを承諾したことはない旨明言しているのだから、本件情報の発信によって、
原告らの同法的利益が違法に侵害されたというべきである。
 なお、本件画像は、道路という公共の場を歩行する姿を撮影しており、不特定多数の者の目に触れる状況を撮影したものではあるが、そのことをもって、私人である原告らの容貌等を承諾なく撮影・公表することによる違法性が否定されるものではない。
また、証拠(甲9、乙1)によれば、原告らの容貌は第一東京弁護士会会報を通じて公表されているが、同会報による原告らの写真は、会員への紹介目的で使用されるものであって、その他の目的での使用を予定していない上、同会報は広く一般に流通しているものではないことに照らすと、
原告らの写真が同会報に掲載されていることをもって、原告らの容貌等が広く一般に知られているとはいえず、本件情報発信の違法性を否定する理由とはならない。
 さらに、証拠(甲1)によれば、本件掲示板は、「C」などと題し、本件画像を受けて、「草生える」、「お腹パンパンやんけ!」などといった投稿がされていることが認められる。これらの事情に照らすと、
本件情報の発信は、原告らの容貌をインターネット上で不特定多数の者に閲覧させ、揶揄する意図がうかがわれるのであり、社会通念上是認されるような正当な目的や緊急性及び必要性並びに方法の相当性を認めるに足りる事情は認められず、
その他の違法性阻却事由も認められない。
 なお、本件情報には、「山岡君か」との記載もあるが、これが本件画像の人物のいずれを指すかは必ずしも明確ではなく、また、同記載は名字のみであることなどからすれば、本件情報の発信により、原告山岡裕明のプライバシー権が侵害されたことが明らかであるとまでは認められない。
(3) そして、弁論の全趣旨によれば、原告らは、本件発信者に対し、本件情報の発信による不法行為を理由に損害賠償を請求する予定であることからすると、被告に対して別紙発信者情報目録記載の発信者情報の開示を求めることにつき正当の理由があるというべきである。
 よって、本件情報の発信については、権利侵害の明白性が認められる。

 (2争点3について
 証拠(甲7)によれば、被告は、原告らからの本件情報に係る発信者情報の開示請求に対し、「権利が侵害されたことは明らか」であるとは判断できないとして、任意にこれに応じることを拒否している。
 ここに「権利が侵害されたことが明らか」(法4条1項)とは、権利の侵害がなされたことが明白であるという趣旨であり、不法行為等の成立を阻却する事由の存在をうかがわせるような事情が存在しないことまでを意味するものである。
そして、本件においては、本件画像が必ずしも鮮明ではなく、原告らを撮影したものであるかの判断は慎重にならざるを得ないこと、原告らは私人であるとはいえ弁護士として会報等で紹介される機会もあり、
その容貌等が一般に知られている可能性も十分にあり得ること、さらには、本件画像が公共の場である道路を歩行する姿を撮影したものであり、違法性阻却事由が認められる可能性が皆無とはいえないことなどを考慮すると、
被告が、本件訴訟提起前に、「権利が侵害されたことが明らか」であるとは判断できないとして、原告からの発信者情報の開示請求に応じなかったとしてもやむを得ないというべきであり、これについて故意又は重過失があるとは認められない。
 よって、被告が、原告らからの本件情報に係る発信者情報開示請求を拒否したことについて不法行為は成立しない。

 4 結論
 以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、原告らの発信者情報開示請求は理由があるからこれを認容し、その余の請求は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。