14 がん患者さん (sage) 2016/10/24(月) 09:07:16.31 ID:mpYgY0ENI
その時、オレの左隣を走っていた幼馴染のネロが右手を伸ばしてオレの胸を支えてくれる。
ネロは黒いハットを斜めに被り、整った目鼻立ちで黒縁メガネ。左耳にピアス。
服は白いシャツに黒いジャケットを羽織り、左手の小指と中指に指輪を嵌め、右手首にブレスレット。下はデニムパンツにスニーカーを履いている。
ネロはモデル並みの美形で女の子は黙っていない。
幼馴染のミサでさえ、ネロを独り占めにしている。
ネロのハットとジャケットは砂埃で汚れ、指輪とブレスレットに小さな泥が付いている。
「わりぃな」
オレは頭の後ろを掻いた。
ネロはオレの胸からそっと手を離し、その場から一歩も動かず魔物を窺い辺りを見回している。
ネロは何やらデジタル腕時計のボタンを弄り、黒縁メガネのレンズに魔物の3D立体映像が表示された。
3D立体映像表示された魔物は回転して、何やら数秒後に黒いシルエットに変わり赤く点滅している。
オレは頭の後ろで手を組んで、ネロの様子を黙って見ていた。
ネロは首を横に振る。
「ダメだ。こいつらの正体がわからない」
ネロはオレに振り向いて簡潔に答えた。
オレは舌打ちして、斜め掛けの鞘に収めた剣の柄に手をかける。
戦おうとするオレにネロは手で制する。
「よせ。下手に動いて奴らを刺激するな。ミサの援護を待とう」
ネロは掌をオレに向けて、オレに警告する。