17 がん患者さん (sage) 2016/10/24(月) 09:09:07.97 ID:mpYgY0ENI
一難去ってまた一難
〜前回のあらすじ〜
ラウル古代遺跡を確かめるため、禁断の森に足を踏み入れたカイトたち。
禁断の森の奥で、アルガスタに存在しないはずの魔物に追いかけられる。
カイトがこけそうになった隙に、カイトとネロは魔物たちに囲まれてしまう……
〜一難去ってまた一難〜
腹を空かしているのか、魔物たちがジリジリとオレたちとの距離を縮める。
魔物は低く唸り、吠えたり、涎を垂らし、歯を噛んで鳴らし、仲間の首に噛みついたりじゃれている。
オレは魔物を睨み据え、斜め掛けの鞘に収めている剣の柄に手をかける。
「こうなりゃ、戦うしかねぇだろ。ネロ、策はあるか?」
オレは背中合わせのままネロに振り向く。
ネロは瞼を閉じて肩を竦め、呆れて首を横に振る。
「この数を相手にするつもりか? 相手にするとキリがない。こいつでまとめて片付ける」
ネロはジャケットのポケットから、銀色の小さな丸い球形を二個取り出した。
「受け取れ」
ネロは後ろに手を回して、銀色の小さな球形をオレに手渡す。
オレは首を傾げ、手を後ろに回してネロから得体の知れない銀色の小さな球形を受け取る。
「なんだよ、これ」
オレは眉根を寄せ訝しげにネロから受け取った銀色の小さな丸い球形を両手の掌で転がす。
オレは銀色の小さな球形が転がる動きを細い目でつまらなそうに追う。
ネロが肘でオレの脇腹を小突かれて、オレはネロに振り向く。
「手前に水溜りがあるだろ? こいつで奴らを感電させる。ある程度倒せるだろ、後のことは考えてない」
ネロは手前の水溜りを睨み据え、左手をジャケットのポケットに突っ込んで銀色の小さな球形を放り投げて遊んでいる。