5 野に咲く名無し@転載禁止 2025/12/07 (日) 20:55:35.232 ID:0cnK37JG8主
次に役立ったのは護身術だった
僕は走りながら腕時計を外し、右手に握った。続いて追いかけてきたのも俊足な若者で、当時30代前半だった僕はすぐに追いつかれる。もう1人は足が遅くて50メートルほど後ろにいる。2人相手なら勝てないが、1対1ならなんとかなる。
急に立ち止まった瞬間、相手は一瞬その行動に混乱する。チャンスとばかり、男の鼻を狙い、先手必勝で思いっきりパンチを繰り出す。グシャッという感覚と拳に強い痛みが走ったが、同時に鮮血が相手の鼻からビューッと噴き出した。鼻骨が折れたのだろう。
これは取材がきっかけで護身術を習ったとき、「男は血を見ると戦意喪失するので、鼻を狙え」と師範から言われた通りにやった。しかも、鼻をやられると涙が出て視界がぼやけるそうだ。時計を握っていたせいで、パンチ力が増したのか、ふらふらと脳震盪を起こしてその場にしゃがみ込む男。
僕はそれからも無我夢中で走り、上野駅に到着して改札へ入った。そこには防犯カメラがあるので、最後の男は追跡を諦めた。こうして運よく逃げ切ったのである。