📚第2回農園読書感想会📖 (32)

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26 野に咲く名無し@転載禁止 2024/12/28 (土) 20:43:20.013 ID:y3udXRy18

夜長姫と耳男を10年ぶりくらいに読み返してきた🤗
堕落論のとき読んだけど参加し損ねたからそれの感想もちょっと混ぜ合わせて書くね🥺


ヒメというのは堕落論でも指摘された人間の本質的な部分のメタファーなのかな
それに対して耳男は人間の弱さであり、また本心の欲求への恐怖のなのかな、という印象を受けたよ

戦争であったり疫病であったり、それが対岸にあるとき多くの人はそれをセンセーショナルな事件として消費するよね

自分自身がそこに巻き込まれてすらそういう思いがなくなることはない
堕落論に示されたように安吾自身、あるいは空襲に焼けだされた人たちですらどこかそれに美しさ、楽しさを感じていた
あるいは自分のことを顧みても、例えばコロナ禍のなかで日々報道される内容を楽しむ気持ちが一切無かったとは言いにくい

倫理観、社会の要求に縛られて隠している本心の欲望、欲求に対して素直になることを、安吾は「堕落」と表現したのだと思っているけど
それらの欲求の象徴として「ヒメ」が描かれたように思える
ヒメが仏様よりも耳男の作った像を好んだのもつまり仏教的価値観、人間の本心の欲求を捨て去るような教えへの反抗が関連しているのかな

平気だというから残った耳も切らせてみたいし、人がバタバタ死ぬのは面白い
そんなヒメの笑顔が「一点の翳りもなく(中略)ただあどけない童女のものが笑顔の全てで、どこにも秘密のないものだった。」と表現されているのも印象深いね

それこそ素直な人間の心であり、悪であるかもしれないけれど「魔神に通ずる」ような特殊ものではない
むしろごく普通の素直な心なのだ、と
そういう安吾の思想を見たように思ったよ

結局耳男は「このヒメを殺さなければ、チャチな人間世界はもたない」とヒメを殺してしまうわけだけども
そこにも堕落論に示された「堕ちぬくためには弱すぎる。」という人間観を見るように思うね


人間は皆心の中に心の中にヒメがいて、それを剥き出しにすれば社会を維持できなくなるという本能的な恐怖でおしとどめている
安吾はそれを解放せよと説く一方で、人間と人間社会は結局のところその弱さゆえにまたそれを恐れ封印、つまりヒメを殺すであろうと思っている
総合してそういう作品なのかなと思いました



長文失礼ぷー🥺