45 - 無名國民黨員 (sage) 2017/04/29(星期六) 01:04:08.79 ID:sJTfapG1
本拠地、ナゴヤドームで迎えた広島戦
先発大島が大量失点、打線も勢いを見せず惨敗だった
ドームに響くファンのため息、どこからか聞こえる「今年は100敗だな」の声
無言で帰り始める選手達の中、侍戦士平田は独りベンチで泣いていた
WBCで手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト・・・
それを今の中日で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」平田は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、平田ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰ってトレーニングをしなくちゃな」平田は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、平田はふと気付いた
「あれ・・・?お客さんがいる・・・?」
ベンチから飛び出した平田が目にしたのは、外野席まで埋めつくさんばかりの観客だった
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのように燃えよドラゴンズが響いていた
どういうことか分からずに呆然とする平田の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「良介、守備練習だ、早く行くぞ」声の方に振り返った平田は目を疑った
「ど・・・ドメさん?」 「なんだデブ、居眠りでもしてたのか?」
「ひ・・・英智コーチ?」 「なんだ平田、かってにクラさんを引退させやがって」
「森野さん・・・」 内川は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた
1番:井端 2番:荒木 3番:福留 4番:ウッズ 5番:森野 6番:平田 7番:李炳圭 8番:谷繁 9番:中田賢一
暫時、唖然としていた平田だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ!」
ノリさんからグラブを受け取り、グラウンドへ全力疾走する平田、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・
翌日、ベンチで冷たくなっている平田が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った