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【連続テレビ小説】走れ!赤味噌 (6)

1 エッジ上の名無し 2023/09/30(土) 21:04:28 ID:5RT2mtgL
赤味噌は激怒した。
必ずかの邪智暴虐の監督を除かなければならぬと決意した。
赤味噌には野球がわからぬ。
赤味噌はまちの自由人である。
ネットを見て働かず遊んで暮して来た。
けれども中日ドラゴンズに対しては、人一倍に敏感であった。
きょう未明赤味噌は家を出発し、新幹線に乗り、十里はなれた水道橋駅にやって来た。
赤味噌は父も母も健在だ。
妹も竹馬の友もいない。

2 エッジ上の名無し 2023/09/30(土) 21:04:43 ID:5RT2mtgL
歩いているうちに赤味噌は、まちの様子を怪しく思った。
皆中日ユニを着ている。
もう既に日も落ちかけ、試合前なので多少はいるだろう。
けれども、なんだか、80敗しているチームの割には、市全体がやけに騒がしい。
しばらく歩いて権藤ユニの老爺に逢い、語勢を強くして質問した。
老爺は答えなかった。赤味噌は両手で老爺のからだをゆすぶって質問を重ねた。
老爺は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。

3 エッジ上の名無し 2023/09/30(土) 21:05:02 ID:5RT2mtgL
「王様は、竜を殺します。」
「なぜ殺すのだ。」
「悪心を抱いている、というのですが、誰もそんな、悪心を持っては居りませぬ。」
「たくさんの竜を殺したのか。」
「はい、はじめはアヘ単で守備難の石岡さまを。それから、正二塁手阿部さまを。それから、新人王京田さまを。それから、第四捕手の郡司さまを。それから、山本さまを。それから、アホの高松さまを。」
「おどろいた。監督は乱心か。」
「いいえ、乱心ではございませぬ。人を、信ずる事が出来ぬ、というのです。このごろは、選手の食生活をも、お疑いになり、試合前の米禁止を命じて居ります。」
 聞いて、赤味噌は激怒した。「呆れた監督だ。生かして置けぬ。」

4 エッジ上の名無し 2023/09/30(土) 21:05:27 ID:5RT2mtgL
赤味噌は、単純な男であった。試合開始時刻が近づき、チケットを見せて、のそのそ東京ドームにはいって行った。
たちまち彼は、中日の試合に魅力された。
中日 0 0 0 0 0 0 0 1 1  2
巨人 0 1 0 0 0 0 0 0 0  1
観客も、どよめいた。あっぱれ。名将立浪、と口々にわめいた。中日ドラゴンズは、最下位を回避したのである。

5 エッジ上の名無し 2023/09/30(土) 21:05:40 ID:5RT2mtgL
ひとりの少女が、求人誌を赤味噌に捧げた。赤味噌は、まごついた。いつの間にか、隣に座っていた老爺は、気をきかせて教えてやった。
「赤味噌、君は、無職じゃないか。早く職安へ行くがいい。この可愛い娘さんは、赤味噌の将来の行く末が、たまらなく口惜しいのだ。」
 赤味噌は、ひどく赤面した。

6 エッジ上の名無し 2023/09/30(土) 21:10:28 ID:k0o45hWe

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