263 一般ノルウェー市民 2020/01/16(木) 23:38:26.03 ID:J7lRbus90
あの日と同じバーカウンターで彼と話した。窓に張り付いた雨粒が、東京タワーの明かりを濡らしている。
「きみにそう言ってもらえるのはすごく嬉しい。でも、僕はもう終わってたんだと思う。はじめからずっと、何もかも手遅れだったんだよ」
絞ったレモンを灰皿に捨てた。俺がその上に灰を落とすと、透明な果肉は黒く汚れてぐちゃぐちゃになった。
「僕たちはどう見えてるんだろうね」
「さあね」
「悪いことなんて一つもしてないように見えたらいいよね。なんだか、世界に二人になってしまった気分だよ」