786 一杯のかけそば (一杯のかけそば) 2020/02/09(日) 18:07:51.52 ID:x54BjouP0
１０時半になって、店内の客足がとぎれるのを待っていたかのように、父(54)と子の３人連れが入ってきた。
２人とも見違えるほどに成長していたが、
父親(54)は色あせたあのヤンキースの半袖パーカー姿のままだった。
「いらっしゃいませ！」と笑顔で迎える女将に、父親はおずおずと言う。
「あのー......ざるそば......２人前なのですが......よろしいでしょうか」
「えっ......どうぞどうぞ。さぁこちらへ」
と２番テーブルへ案内しながら、そこにあった
『バカ橋嘉之の予約席(ﾌﾟｰｸｽｸｽ)』
の札を何気なく隠し、カウンターに向かって「ざる２丁！」
それを受けて「あいよっ！ざる２丁！」とこたえた教育神は、青イソメ３塊りを湯の中にほうり込んだ。
２杯のざるそば（青イソメ）を互いに食べあう父子３人の明るい笑い声が聞こえ、話も弾んでいるのがわかる。
カウンターの中で思わず目と目を見交わしてほほ笑む女将と、
例の仏頂面のまま「うん、うん」とうなずく島田教育神である。