503 一般ノルウェー市民 (sage) 2020/04/29(水) 23:06:13.49 ID:s9VPRkeE0
B.大規模核汚染に対する防御
1.大規模核汚染に対する防御の必要性
米国でスリーマイル島原発事故があったとき、「我が国の原子炉は米国より優秀だから大丈夫」とロシアの科学者は言いました。チェルノブイリ原発事故があったとき同じように「我が国の原子炉はロシアと違って優秀だから大丈夫」と日本の科学者は言いました。
ロサンゼルス大地震で高速道路の高架橋が落ちた時から、阪神大震災で高速道路の高架橋が落ちるまでは「日本の高架橋は米国と違って設計基準が高いから落ちたりしない」と日本の技術者は言い続けました。
日本は世界第三位の原子力発電大国です。それも活断層だらけの小さな島にぎゅうぎゅうに押し込められて設置されています。
日本では原発事故は起きないという空想的な方針で原発が運転されている以上、わたしたちは原発事故が起きたときの準備を自分でやる必要があります。
原発事故以外でも私達は核実験などで放射性物質の被爆を受けてきたし、これからも受けるでしよう。
1964年に核燃料を搭載した人工衛星SNAP-9Aが大気圏で燃えつき、大気中にチェルノブイリ以上の大量のプルトニウムをばら撒きました。そして核燃料を積んだ衛星はまだ地球軌道を多数回っています。
また北朝鮮の核弾頭ミサイルの標的は日本であり、朝鮮半島での戦術核兵器の使用は、国内での原発事故と同等の地理的意味を持っています。
そして当然、日本の都市が直接核攻撃される可能性をも考える必要があります。
核汚染の準備はこれらの破局にも、わたしたちの生存確率を大きく高めてくれるでしょう。
2.大規模核汚染の発生を判断する
「事故発生や核兵器の使用をできる限り早く知る」
原発事故は隠し通せなくなるギリギリまで隠そうとされます。事故を起こした原発に近い地域ほど「事故を知ったときには、もう手遅れ」という危険性が高くなります。
ですから原発に近い所(最低半径40キロメートル以内)には住まないのが修行者としての常識です。
「報道の内容を鵜呑みにしない」
事故報道ではどんな大事故でもパニックを防ぐため、意図的な情報操作や過小評価がなされます。
例えば「原子炉は大丈夫ですから安心してください。」とか「専門家は避難する必要はないといっています。」などのコメントが付けられるでしょう。
事故報道の裏を読み、事故の実態を見抜き適切な核汚染防御の決定をする必要があります。
3.原発事故とはどんな災害か
事故・天災・戦争などで制御不能となった原子炉内は暴走を始めます。核燃料の詰まった燃料棒は溶け、核燃料の一部は高熱で蒸発します。
蒸発したプルトニウム239・ストロンチクム90・セシウム137などは原子炉格納庫内で凝集して微細な粒子になります。
この格納庫内に充満した粒子の殆どは1〜10μの大きさで重力によって沈降しません。
したがって格納庫の破れから大気中に放出された粒子は空気と共に風下に流れ広がっていきます。またキセノン133・クリプトン85・ヨウ素131などの揮発性の放射性物質は分子のまま拡散していきます。
空気の流れは気象的諸条件によって複雑に変化します。チェルノブイリ原発の例からすると、原発から半径40km以内は風の向きとは関係なく激しく汚染されると考えた方が良いでしょう。
そして人気の流れの方向には、半径100km以内の地域に高濃度の汚染地群が風の向きに沿って分布します。
また大気の流れの方向に、半径300km以内の地域には、高濃度の汚染地帯が飛び石のように分布します。これは放射性物質を濃縮した水滴が、雨となって地上に落ちた地域です。
また核燃料の溶液と共に、火災や爆発などがあれば大量の放射性物質を含んだ煙や塵が周囲に撒き散らされます。「もんじゅ」などの高速増殖炉は水に触れると爆発する金属ナトリウムを大尽に抱えています。したがって最も危険な原子炉といえます。
4.重要な放射性物質の特徴
放射性物質は放射線を出しながら、より安定な物質に変化していきます。そして放射性物質が最初の量の半分にまで減るのに必要な時間を「半減期」と言います。この半減期と生化学的性質によって具体的な核防御の対策がおこなわれます。
「短時間に崩壊する放射性物質」
・クリプトン88 半減期 0.118日
・キセノン135 半減期 0.379日
これらの放射性物質は原発事故で大量に放出されますが、短時間に崩壊するので、原発から近い地域以外は核防御の対象になりません。事故隠しや報道規制が行われるため、原発事故発生の情報を素早く人手するのは困難であることも理由の一つです。
「短期間に崩壊する放射性物質」
・ヨウ素131 半減期 8.04日
原発事故では多量に放出され、半減期が8日と短かい放射性物質です。
ヨウ素131は植物体内で高度に濃縮され、乳製品などでは更に濃縮されます。
呼吸や食物から体内に入ったヨウ素131は、甲状腺に蓄積されます。
その速度は年齢が低いほど大きいため、子供達のヨウ素131対策は重要です。
・キセノン133 半減期 5.25日
揮発性の放射性元素で、原発事故では多量に放出されます。
高度汚染地域からの一時的避難や簡易シェルター化した室内への閉じこもりなどはヨウ素131やキセノン133による被爆をできる限り低減するための対策です。
「長期間に崩壊する放射性物質」
高度汚染地域からの一時的避難や簡易シェルター化した室内への閉じこもりなどの短期の核防御の後は、半減期の良いセシウム137やストロンチウム90の食料汚染に対する対応が核防御の中心となります。
・ストロンチウム90 半減期 28.8年
化学的にはカルシウムと似た性質のため、体内では骨に蓄積し骨髄被爆を引き起こします。
・セシウム137 半減期 30.2年
化学的にはカリウムと似た性質のため農作物に良く吸収されます。吸収されたセシウム137は植物の生長部位や貯蔵組織に蓄積されます。
半減期が30年と長く、チェルノブイリ原発事故ではセシウム137による食物汚染が今も続いています。
体内に入ったセシウム137は大部分が排出されますが、その一部が筋肉や生殖器に蓄積しガンや遺伝的障害を引き起こします。
・クリプトン85 半減期 10.7年
揮発性の放射性元素で、原発事故では多量に放出される。強力なガンマー線を出すので被爆すると全身のガンに関係します。
・プルトニウム239 半減期 21000年
半減期も2万年と長く、人類の知っているもっとも強力な毒物です。プルトニウムの微粒子はホットパーティクルと呼ばれ、このホットパーティクルの付着した所は、センチメートル単位の微小な、しかし激しい汚染を受けます。
このホットパーティクルを吸い込むと、ほとんどの場合肺ガンを引き起こします。
チェルノブイリ原発事故では遥か離れたオーストリアで、このホットパーティクルを含んだ雨粒の一つが、木製のベンチを一人がすわる分だけの場所を汚染したような例もあります。