31 グナマーナ正大師 2015/02/01(日) 05:02:03 ID:FuRiAMt2
III. 失楽天
太陽を曳く馬車は運行を開始したが、乗員は3名になっていた。
中央に鎮座する岩村は、左右に厚史とパエトーンを侍らせ
己のチン座を奉仕させていた。このときの岩村の下卑た表情は
とても両親には見せられないようなしろものであった。
――太陽は後日また東から運ばれる、その際タルタロスで
得た不死の体をもって東の果てに飛び降り、日本に戻る。
それが岩村の目論見であった。
飛行機より遥か高く、まさに王道を往く馬車から下界を見下ろすと
真下にバルカン半島、そして地中海、イタリア、エジプトなど、
世界地図と同じ西側諸国が見て取れた。アフリカ大陸北西部の
モロッコ・チュニジアの一部は不自然な厚い雲に覆われており
岩村は気になったが、それより不思議なものが前方にあった。
イベリア半島より西に大きな島、いや大陸と言ってもいいほどの
陸地があった。岩村はアメリカかと思ったが、小さく形も違う。
――あれは、アトランティスか?
ふいに上空から巨大な声が響き、周囲を震わせた。
聞き取りにくかったが、なんでホモがいるんですかね、と
いったニュアンスであった。岩村はしまった、と思った。