【坂本堤】雑談★89【横浜法律事務所】 (1000)

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149 グナマーナ正大師 2015/04/23(木) 00:17:21 ID:F49nbLZs

2 争点(2)(違法性阻却事由の有無)について

(1)本件投稿記事1について
 本件投稿記事1が摘示する,既婚者である原告が不特定の女性と知り合うことができるウェブサイトを利用しているとの事実は,原告の私生活上の行状に関する事実であって公共の利害に関する事実には当たらないし,本件掲示板に上記事実を記載することの目的が専ら公益を図ることにあったと認めることもできない。したがって,本件投稿記事1の投稿について違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情は存在しない。

(2)本件投稿記事2について
 本件投稿記事2が摘示する,原告が真実でない情報を流し,過去に関わりのあった者を誹謗中傷しているとの事実は,私人である原告の私生活上の行状に関するものであって公共の利害に関する事実と認めることはできないし,本件投稿記事2において上記事実を摘示する根拠が何ら明らかにされていないこと,同記事には原告を揶揄するような表現が用いられていることに照らすと,本件投稿記事2が公益を図る目的で投稿されたと認めることはできない。したがって,本件投稿記事2の投稿について違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情は存在しない。
 被告は,原告が他者を誹謗中傷する投稿をしているとすれば,かかる事実は名誉毀損罪や信用毀損罪といった犯罪行為に該当する可能性があるから,本件投稿記事2は公共の利害に関するものであり,その目的は公益を図るものと認められる旨主張するが,摘示された事実が犯罪行為に該当する可能性があるというだけで,当該事実が公共の利害に関するものであり,その事実の公表に公益目的があるということはできないから,被告の上記主張を採用することはできない。

(3)本件投稿記事3について
 本件投稿記事3が摘示する,原告が過去に関わりのあった者を一方的に誹謗中傷しており,今後も行う可能性が高いとの事実は,私人である原告の私生活上の行状に関するものであって公共の利害に関する事実と認めることはできないし,本件投稿記事3には,上記事実を摘示する根拠が何ら明らかにされていないこと,本件発信者が,その公表に公益目的の認められない本件投稿記事1及び2の投稿から間もなく本件投稿記事2と同様の内容の本件投稿記事3を投稿していることに照らすと,同記事が公益を図る目的で投稿されたと認めることはできない。したがって,本件投稿記事3の投稿について違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情は存在しない。
 被告は,本件投稿記事3についても本件投稿記事2について主張するのと同様の理由により,公共の利害に関するものであり,その目的に公益を図るものと認められる旨主張するが,この主張が採用できないことは上記(2)で説示したとおりである。

3 結論
 以上によれば,原告の請求は理由があるから,これを認容することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第43部

裁判官 山原佳奈