499 グナマーナ正大師 2015/07/30(木) 19:20:18 ID:tC.P0uRo
「法のプロ信用」背信
こうした背信行為の中でも、特に目を引くのが交通事故で脳障害を負った少女一家の被害だった。
当時10代だった一家の長女は平成18年1月、自転車で帰宅途中、自宅近くの交差点で出合い頭にトラックと衝突。
一時は意識不明の重体となり、脳機能障害が残った。母親が知人の紹介を受け、事故の相手側への示談金請求業務を委任したのが久保田被告だった。
数回にわたり、示談成立前の一時金名目で入金があったが、実は「交渉途中」と説明していた22年春の段階で示談が成立していた。
本来の示談金は約9200万円だったが、振り込まれたのは一部に過ぎなかった。被告が着服した総額は約5400万円に上った。
示談成立から3年余り後、久保田被告は「示談が不成立になった」との虚偽の事実を母親に告げた。
「最近は自転車側の過失も重視されるようになった。訴訟を起こしても勝ち目はない」と説得。結局、母親は交渉継続を断念した。
障害者向けの作業所に就職した長女は、記憶力の低下や激しい感情の起伏もあり、事故以前の生活に戻ることはできない。
「法のプロなら大丈夫、と全面的に信用していた」。母親は憤りを隠さない。
借金返済、キャバクラ豪遊…
捜査関係者によると、久保田被告は少女一家という「弱者」を含む被害者から着服、詐取した5億円近い大金を自らの借金返済や事務所の維持費、生活費などに費やしていたという。
ただ、現実には「弱者」を食い物にした弁護士の犯罪は後を絶たない。
25年には、成年後見人を務めていた女性の預金計約4200万円を着服したとして、東京弁護士会の元副会長が業務上横領罪に問われ、懲役5年の実刑判決を受けた。
判決によると、この弁護士はバブル期の不動産投資に失敗し、多額の借金返済や事務所経費に充てるため横領を繰り返した。
また、今年7月2日には、成年後見人として管理していた認知症の女性の預金を着服したとして、警視庁が業務上横領容疑で元弁護士を逮捕。
無断で口座から現金を引き出したり、不動産を売却したりしてキャバクラなどで使っていたという。
最高裁によると、弁護士や司法書士ら専門職による着服などの不正は、調査を始めた22年6月から26年末までの4年半で、全国で少なくとも62件、約11億2000万円に上った。
判決文偽造の不祥事も
大阪弁護士会をめぐっては、久保田被告の逮捕に続き、別の会員の弁護士も裁判所の判決文や決定書を偽造していた疑いが浮上し、大阪地検が本格捜査に乗り出している。
相次ぐ不祥事に、同弁護士会の山本健司副会長は「大変残念だ。依頼した弁護士に不審を抱いた場合には、弁護士会に相談してほしい」と呼びかける。
久保田被告に示談金を横領された少女一家は、交通事故から9年を経た今春、地検の捜査が入るまで弁護士の不正を疑ったことは一切なかった。
もっとも、弁護士の不正を監視すべき立場の弁護士会でも、被告の不正情報はつかめていなかったという。
拡大する一方の「弁護士不信」を解消する有効な手立てはないのか。「『弁護士自治』の原則があり、相当程度の不正を確認できなければ、積極的に介入することはできない」。弁護士会の関係者はこう嘆くのだが…。
http://www.sankei.com/west/news/150730/wst1507300004-n1.html