63 グナマーナ正大師 (sage) 2015/09/19(土) 15:53:39 ID:sMb53j6A
「ただいまぁー！お腹空いたよぉ～」
だったらまずは台所の茶箪笥でも漁れ…なんで俺の部屋に、当たり前のように来るかな…
で…当然の如く、聡美も俺の部屋にいるまんぼうに目が行く訳。
「…お…お兄ちゃん…学校のお友達？」
いや、俺…学校にこんな友達なんかいねーし。普通は誰もいねーと思うし。しかも魚だし。
「おぉ！これは可愛らしい…妹さんですか？」
…なんかさぁ…いま気づいたんだけど…このまんぼうって、随分と話し言葉が紳士的なのな。
それはまぁ好感度アップってとこなんだろーけど。でも妹よ…まずは驚けよ。この状態に…
「め…珍しいお客さんなんだねぇ…ちょっとびっくりしちゃった…」
おい…普通、ちょっとびっくり…どころの騒ぎじゃねーぞ？相手は魚よ？深海魚のまんぼうよ？
もうね、この時点で俺は軽くこけた。どっかしら抜けてる妹だとは思ってはいたが、こうも抜けて
いるとは…普通は腰抜かすか、黙って警察にTELだろー！まぁ俺もしてないけど、そんなの。
「あ、言い遅れました。私まんぼうと言います。以後よろしくお願いします」
…その「以後」ってなんだよ？まさかお前、ここに居つく気満々？いや、それ困るから。
近所の目もあるし、まず第一に俺が困る。部屋数ないのよ俺ん家…狭いのよ？
でもこいつ、人のそんな思惑なんか聞いちゃーいねーって感じだな。もうね、わが道をひたすら？
ここ人の家っての完全にど忘れしているだろ。それか人の家と思っていないか。
「…お茶…用意した方がいいのかなぁ？お兄ちゃん」
…お茶をすする魚。見てみたいよ俺も。つーか飲むのか？普通に考えて…
と言うかまともに応対すんなよ！客人扱いしてんじゃねーよ！だからどっか抜けているんだよお前！
とまぁ、自分の妹にそこまで言うのもさすがに気が引ける。まぁ適当に出しとけば？と思った。
ぐぅきゅるる…
なに？いまの音？あー、そういや妹が「お腹空いたー」とか言ってたなぁ…
「す、すいません…いまのお腹の音…私です…」
へ？ま、まんぼう？お前腹減ってるの？ま、まぁ…こいつも一応は生き物なんだし…
腹くらいは減るよなぁ。しかし…なに食べるんだ？まんぼうって…
「あ、それなら私のおやつ分けてあげるよ～」
嬉々として妹は台所に走った。そして帰ってきたその手には…
「ぎ、魚肉ソーセージ？お前いくら何でもそれは…」
魚肉ソーセージにも驚いたが、妹がビニールを剥いてまんぼうに差し出したのね。
それをまた嬉しそうに食べたんだわ…こいつ…
「うん。美味しいですねぇ…ぱくぱく…うん、これは美味しい。助かりましたぁ」