【唐澤貴洋殺す】雑談★4【スジエビ】 (1001)

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189 無名弁護士 2017/05/19(金) 18:16:25.85 ID:FQ1JdSIy0

荻原長一『髑髏の証言 ミンダナオ島敗走録』


 「実は、二十日ほど前にも一人……。海軍五中隊の畑(北上の際同隊が最初に発見し独占していた古い畑)から少し南下した所で、肉が欲しくてどうにも腹の虫が承知しやがらねえんで、一緒に行動していた海軍の兵隊を、夜半にやりましたがね」

 「一体何でやったんだ。軍刀でか」

 「いや、この拳銃すよ。眠っているところを頭に銃を当ててやりゃ、一発でいっちゃうやね」

 そう言って、後ろに掛けてあった十四年式の拳銃を指した。そこに拳銃があるのに今初めて気がついた。

 私たちは、立ったままの姿勢で身動き一つ出来ず、ヒザがガタガタするのを力一杯踏み抑えようと思ったが、その力も出なかった。私は、嫌悪と脅迫感をまともに感じながら、顔から血の引くのを懸命に耐えた。

 彼はむしろ得意気に、さらに続けた。

 「最初はやっばり、腕や大腿部をバラして、良い所を乾燥肉(薫製)にして取って置く。まず臓物から食っていくんすが、肝臓なんざァ特にわッしの大好物でさァ。腸も小ちゃく切ってよく煮ると、シコシコして椎茸みてェで何ともいえねェ昧だね」

?もう沢山だ、やめてくれ! お前たちはなんという事をするんだ″

 私はそう怒鳴ろうとしたが、ツバが乾いてロに出てこなかった。

 「それから、頭はこの軍刀でバーンと割って、中から脳味噌をグイッと引っつかんで、ペロッと飯盒に入れるんだが、随分あるもんすね。これに七、八分目ぐらいはあっかなァ」

 そう言いながら、傍らにあった飯盒に指で線を引く格好をした。(P232-P233)