【唐澤貴洋殺す】雑談★33【出龍生誕祭】 (1001)

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618 無名弁護士 2017/08/13(日) 19:40:38.02 ID:QZgHs4Sai

当然初めて北三舎の担当になったばかりのときは、麻原がそこにいるなんていうことは知りませんでした。
というのも、基本的には彼はあそこには「いないこと」になっているんです。房の入り口はクリーム色のペンキを塗った鉄扉です。
その中央に縦50センチ、横15センチくらいの観察窓が設けられており、その中にガラスがはめ込まれていますが、麻原のいる44号は常にその窓の扉が閉ざされています。
普通は中の様子を観察する意味で開けられているのですがね。
また、その鉄扉の右側上部には「名札(めいさつ)」といって、被告の番号を記したプレートが据え付けられるようになっており、例えば「運動中」などと、その房の人間の状態がわかるようになっているのですが、麻原の場合は「空房」と記されているのです。
ただ私の目の前で発狂したり、大騒ぎしたり、ということはただの一度もありませんでしたよ。
以前は朝起きるなり「ショーコーショーコー!」などと叫んでいたこともあったそうですが、今や廃人のように動かず、何も言わず、といった状態で毎日ひっそりと暮らしています。
食事や着替え、入浴の世話以外には全く大人しいので、先生や衛生夫も「手の掛からない奴だ」などとも言っています。
とにかく彼は被告が本来持つべき権利をほとんど有していないのです。
午後、衛生夫は、それぞれの被告に持ち込まれたお菓子や本などの差し入れが集められたところに行き、そこから房に配りに行きます。
その際、麻原には一切の差し入れは入りません。それは差し入れる人が全くいないのではなく、拘置所が止めているからです。
ただ、1回間違えて我々が差し入れを集めに行く場所まで彼への差し入れが来てしまったことがありました。確か甘いものか何か、お菓子でした。
誰から来たのか、おそらくどこかの篤志家か誰かではないでしょうか。差し入れには被告の名前が記されているのですが、「松本智津夫」と書かれていたのです。
私もどうすればいいのかわからないので、先生に「これはどうしますか?」と尋ねたのです。すると先生は「これはいいよ」と言い、彼の手元には渡りませんでした。書籍にしても、お菓子にしても同様です。