2 無名弁護士 2018/01/01(月) 16:48:01.11 ID:2/6Ko2t70
「はい。」
彼は朗らかに返事をしてこちらを向いた。
その顔は目つきは穏やかで、口角は緩み、まさしく満面の笑みという感じであった。
私は恐怖が限界に達し誰にも言わずにその場から逃げ帰った。
次に、私が河野家・唐澤家と出会ったのはそれから十数年後のこと、河野一英先生のお葬式であった。
その時も当時のことを鮮明に覚えていた私は、できるだけ式場全体を見ないようにした。
しかし、さすがに著名な人物とあって悲しんでる者は大勢おり、私は一時安堵した。
―が、見えてしまったのだ。
河野家の中に誰と話してるわけでもなく微笑んでいるものを。