1 サジェストに弱い弁護士 ◆WNgtjwZlNMnX 2018/04/18(水) 01:11:14.08 ID:UAC3dNN60
今日はいつものようにごく平凡な日で、自分の事務所で働いていた。
山岡君と山本君は弁護士会へ送る書類の整理をしていた。
自分は特にやることがなかったので、この前レンタルしてきたアイドルのDVDを見ていた。
すると、山岡君が、「からさん、書類、書かなくていいの?」と聞いてきた。
何のことだかさっぱり解らなかった。自分は弁護士会から書類を送れとも言われていない。
自分は「頼まれていないから。」と言った。山岡君は頷きながら「そうですか。」と言った。
しかし、その瞬間、ふと思い出したのである。
つい1年程前に、大先輩である宇都宮先生に電話で「唐澤くん、書類は?」と聞かれたことがあった。
自分は、「書類なんて、頼まれていましたっけ?」と返した。
すると、宇都宮先生が困った顔をして、「弁護士会から頼まれていたよ。取り掛かっていないのであれば、今すぐ取り掛かったほうがいい。それはできるよね。」
と言った。
もちろん、自分は趣味であるアイドル鑑賞の方ばかりを優先していて、全く取り掛からなかった。
このままだとまずい。今日から取り掛かろうとも思ったが、やる気が出ず、職場から自宅へ帰ってきてもアイドル鑑賞をしていた。
やはりももクロはたまらない。
その日はアイドル鑑賞に疲れて、寝てしまった。
次の日、自分の職場に行くと、山本君が、「唐澤さん、職場の電話に弁護士会から留守電が来ていますよ。」
と言われた。嫌な予感がした。
その留守電の内容は、「唐澤君、もし、この留守電を聴いたなら、君からかけて欲しい。」という内容だった。
言われた通りに、かけ直した。樋口收さんからの電話だった。
「唐澤君、君は弁護士会に頼まれていた書類を1年以上も提出していなかったのか?」
一気に動悸がした。とっさに、アイドル鑑賞をしていたことを隠し、言い訳をしてしまった。
「い、いや、書類をなくしてしまったんです。」
「じゃあ、なんで一年以上も探そうとしないのかな。もしかして君、嘘ついているのかな?」
いともたやすくバレてしまった。
「君、サボってたんじゃないのかな?」
そこで、ふと持っていた財布の中から見えていた障がい者手帳に目をつけた。
「俺は障がい者だ、皆とは違う」
と、言った。
「ほう?障がい者か。同じような弁護士もいるけど、その子達はとても真面目でそういう書類もきちんと出してくれるんだけどね。」
「今の君は"障がい者"なんかじゃないよ。人に迷惑をかける"障害者"だね。」
ハッキリ言って、自分の責任感の無さに今更気づいてしまった。
「時間を使う事は人の自由だけど、頼まれたことをする。それはできたよね。」
あまりの緊張でお腹がゆるんで腹が痛くなってきた。
「で、弁護士会から言われたんだけど...」
弁護士会というワードが出た瞬間、一気に腹が痛くなった。そして...
「君は、書類が提出できていなかったから、クビだってよ。」
その瞬間、あまりのショックから、猛烈に腹が痛くなった。
「あっ...あっ、ああっ...」
「ああああああああああああああああああああ!!!(ブチュブチュブチュチュチュブブブブゥ !!!バババチチチ!!ババリッチ!!!!!ブリュブリュブリュドババババババブブブッッッ!!!」
自分の職場を超え、全世界へとその嘆きの音が響いた。