23 無名弁護士 2018/05/19(土) 11:29:35.17 ID:Jb4uONu90
ネット作法、若いうちに習得を 高柳寛樹氏
一般社団法人ネットリテラシー検定機構理事
私見卓見
2018/5/16 2:00日本経済新聞 電子版
情報社会学者としてネットやメディアの研究をしている。日常のあいさつと同じくらいの感覚で身につけてほしいのが
ネットリテラシーだ。私が2年前から理事を務めるネットリテラシー検定機構では、ネットリテラシーを「インターネットの
便利さと脅威、ルールを理解し、的確な情報を利用して、よりよい情報発信ができる能力」と定義している。子どもの
うちに身につけたいマナーだ。
以前盛んに使われた「メディアリテラシー」は、メディアの伝える情報を「批判的に読み取る能力」といえる。ネットリテ
ラシーとは異なる。メディアリテラシーはマスコミからの片側通行の情報提供への対処を指すが、ネットリテラシーは双方
向の情報のやりとり。従ってネットの情報を批判的に読み取る能力だけでは不十分なのだ。
情報を読み取って、その情報を引用しながら、「自分の意見」も加えて情報発信する。ネットリテラシーに精通してい
ないと危うい。情報を発信する側の責任を正しく理解していないから、「炎上」と呼ばれる事態や混乱が生じる。動画
サイト「ユーチューブ」を巡っては、悪ふざけが逮捕・起訴にまで発展した。
とはいえ「ネットは危ない」と決めつけて活用しない姿勢は問題外だ。機構は社会人向けの検定試験を運用し、ネット
リテラシーの普及に努めている。検定試験で脅威の種類や公共の場での利用、危害を与える表現などに関する問題を
解くと、社会人でも「私は大丈夫」との慢心があることに気付くそうだ。春は新入社員研修として取り入れる企業が多いが
、ベテランの社会人にも学び直しを勧めたい。
教育現場でも積極的に取り上げてほしい。ネット社会で生まれ育った「デジタルネーティブ」のネットの利用方法はものす
ごい勢いで進化している。高校生のスマートフォン(スマホ)の使い方は私たちの想像の域を超える。テクノロジーへの順応
力には目を見張るものがある。
大学生以上では著作権を考えてほしい。文章を複製して貼り付ける「コピペ」を気軽にやる人が多い。大学生未満では、
人間関係を損なったり、事件に巻き込まれたりするリスクなどを学んでほしい。ネットの利用は世代ごとの違いも踏まえ、
社会全体で細心の注意を払う必要がある。誰もが手持ちのスマホから情報を発信できる時代。安心して使え、有意義な
情報のやりとりができる社会にしたい。