78 無名弁護士 2018/09/23(日) 13:33:06.04 ID:DNt9yXr30
>>76
(1年後)
10時半になって、店内の客足がとぎれるのを待っていたかのように、父と子の3人連れが入ってきた。
2人とも見違えるほどに成長していたが、父親は色あせたあのヤンキースの半袖パーカー姿のままだった。
「いらっしゃいませ!」と笑顔で迎える女将に、父親はおずおずと言う。
「あのー......かけそば......2人前なのですが......よろしいでしょうか」
「えっ......どうぞどうぞ。さぁこちらへ」と2番テーブルへ案内しながら、そこにあった「シャア(52)専用」の札を何気なく隠し、
カウンターに向かって「かけ2丁!」
それを受けて「あいよっ!かけ2丁!」とこたえたSMDは、青イソメ2,783グラムを煮えたぎる硫酸の中にほうり込んだ。
2杯のかけそば(青イソメ)を互いに食べあう父子3人の明るい笑い声が聞こえ、話も弾んでいるのがわかる。
カウンターの中で思わず目と目を見交わしてほほ笑む女将と、例の仏頂面のまま「うん、うん」とうなずくSMDさんである。
「英〇、祐〇......今日は2人に、当方からお礼が言いたいの」
「......お礼って......どうしたの」
「実はね、お父さんが起こした誹謗中島事件で、8人もの人に迷惑をかけてしまったんだけど......
保険などでも支払いできなかった分を、毎月5万円ずつ払い続けていたの」
「うん、知っていたよ」
女将とSMDさんは身動きしないで、じっと聞いている。
「支払いは年明けの3月までになっていたけど、実は今日、ぜんぶ支払いを済ますことができたの」
「えっ! ほんとう、お父さん!」
「ええ、ほんとうよ。英〇は新聞配達をしてがんばってくれてるし、祐〇がお買い物や夕飯のしたくを毎日してくれたおかげで、
お父さん安心してインターネットができたの。
よくがんばったからって、学校法人〇尾学園の理事長様から特別手当をいただいたの。
それで支払いをぜんぶ終わらすことができたの」
「お父さん!英〇兄さん!よかったね!でも、これからも、夕飯のしたくはボクがするよ」
「ボクも新聞配達、続けるよ。祐〇!がんばろうな!」
「ありがとう。ほんとうにありがとう」
やがて食べ終え、33,400円の代金を支払い、「ごちそうさまでした」と頭を下げて出ていく父子3人に、
「ありがとうございました!どうかよいお年を!」と声を合わせるSMDさんと女将。