105 無名弁護士 (sage) 2018/11/24(土) 10:08:51.45 ID:jrpMX1+70
「まだ東京にこんなところがあったのか…」
思わず口に出てしまった言葉を同行した上司に失礼だと咎められた。
九龍城のような汚れた鉄筋コンクリート造の建物、ツギハギだらけの服を着るお年寄りたち、
そして彼らは余所者で身なりのいい我々を監視する様に見詰めている。
高度成長だの、神武景気だの、オリンピックだので浮かれていた彼らが移住し、そして半世紀が経過した
かつての「東洋一のマンモス団地」の現状を、我々は噛み締めていた。
ボロ屑のような802号室に居たのは老いた母親一人。
我々を見るなり全てを悟ったのか、涙ながらに 「息子(52)が申し訳ありません」
と我々に何度も土下座して詫びた。
我々はこの時初めてCEO(52)を許そうと思った。
誰が悪い訳ではない、高島平地区の貧しさと、そこで育ったCEO(52)の頭が悪かったのだ。
我々はCEOの母親から貰った干し柿を手に、
打ちひしがれながら高島平駅へと帰路についた。