書評&読書感想文スレ (14)

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3 管理人 稲村某 ★ 2021/01/09(土) 13:07:46 ID:???

美達大和『人を殺すとはどういうことか―長期LB級刑務所・殺人犯の告白』新潮文庫

 サブタイトルの『長期LB級刑務所・殺人犯の告白』とあるように、本著は2件の殺人事件を起こし、無期懲役囚として自らを振り返りながら同じ重罪を犯した面々を内部からつぶさに見つめていく。
 第一章では著者の生い立ちや殺人を犯した経緯や裁判までの流れが、第二章では刑務所での生活と内部の様子を綴り、第三・第四章では一般人と暴力団員のそれぞれの受刑者を取り上げ分析している。
 第五章ではそれらを総括し、「一生刑務所から出ない」と自らを結論づけ、殺人者の特徴やどう扱っていくべきかの著者の考えが述べられている。
 これらについて筆者は「はっきり言って異常だ」としか思えない。親の影と自らの「信念」に縛られ、殺人を過ちだったとしながらも下した結論は様々な理由を述べておりここでは割愛するが、「信念」と父に報いるために将来の可能性を放棄する事によって贖罪とするにはあまりにも身勝手で視野が狭いと感じた。
 被害者の分の可能性も背負い、仮釈放に向けて尽力する方法もあるのにそれを捨てるのは愚かしいと感じたからだ。
 最後になるが本著は一種の虐待を受け、認知が歪んだ犯罪者の視点がどのようなものかを知るのには良いかもしれない。
(493字)


参考になるか分かりませんが試しに書いてみましたを