雑談★2 (1000)

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147 塘懌䝿拝 2013/08/22(木) 18:19:43 ID:AkR3Xkfw

2 争点(1)(被告らの占有)について
(1)被告Cが本件建物に居住してこれを占有していたことは当事者間に争いがない。また,前記1(5)の認定事実によれば,被告Cは,本件建物の3階の6畳の洋室に家財道具を持ち込んで生活していたにすぎず,他の部屋にはほとんど私物を置いておらず,台所,浴室,洗面所以外の部屋はほとんど使用することがなかったものと認められるが,Eが死去した後,本件建物に被告C以外の居住者はいなかったこと,自室として使用している以外の部屋に施錠はされておらず,被告Cが自由に出入りすることができたことなどに照らせば,自室として使用している部屋だけでなく,本件建物全体について被告Cの占有が及んでいたものと認められる。
(2)次に,前記1(3),(4)の認定事実によれば,被告Bは,Eの介護のため,平成9年ころから,しばしば本件建物に滞在するようになったこと,平成14年5月からEが平成15年1月に死去するまでの間は,本件建物でEと同居し,Eの在宅介護に当たったこと,その際には本件建物の浴槽の改装や手すりの取り付けをしたり,家財道具の買替等を行ったりしたことが認められ,これらに照らせば,Eが死去するまでの間,被告Bが本件建物全体を直接占有していたことは明らかである。
 また,前記1(11)の認定事実によれば,被告Bは,Eが死去した後も,引き続き本件建物の鍵を所有し,年に1,2回程度の頻度でオーストラリアから日本に帰国した際に本件建物に宿泊していたこと,長男である被告Cが引き続き本件建物に居住していたほか,被告C以外の子らも本件建物に時折宿泊していたことが認められ,これらに照らせば,被告Bは,Eが死去した後も,被告Cを通じて,本件建物全体を引き続き間接的に占有していたものと認められる。
(3)もっとも,前記1(11)の認定事実によれば,被告Cは,平成23年12月ころ,めぼしい家財道具を搬出して本件建物から退去し,転居の届出もしたこと,本件建物の鍵は取り替えられておらず,被告らは,被告ら代理人を通じて,保管していた鍵を原告に返還すると申し出ていることが認められ,これらに照らせば,上記鍵の返還の申出がされた平成24年2月8日の時点において,被告らは,原告に対し,本件建物の明渡しを行ったものと認められる。
 なお,前記1(11)の認定事実によれば,本件建物内には被告Cの私物がわずかながら残されているほか,原告の所有物でない家具や荷物が多数放置されているものと認められる一方,本件建物の鍵が現実に原告に返還されたものとまでは認められないが,これらの事情は,被告らが原告に対して本件建物を明け渡したと認めることを妨げるものではない。
(4)以上のとおり,被告らは,いずれも本件建物を占有していたものであるが,平成24年2月8日に明渡しを行ったものと認められるから,所有権に基づく本件建物の明渡請求には理由がないことが明らかである。そこで,以下,所有権侵害の不法行為に基づく賃料相当損害金の支払請求の当否について判断するため,争点(2)ないし争点(4)について判断する。