雑談★2 (1000)

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148 塘懌䝿拝 2013/08/22(木) 18:20:19 ID:AkR3Xkfw

3 争点(2)(本件使用貸借契約の成立)について
(1)被告Cが,平成15年1月以降,本件建物に引き続き無償で居住していたことは当事者間に争いがない。また,前記1(6)ないし(10)の認定事実によれば,原告は,遅くとも平成15年1月までには,上記居住の事実を認識していたにもかかわらず,平成21年10月に原告代理人を通じて被告Bに申入れをするまでの間,被告らに対し,本件建物からの退去や賃料相当損害金の支払を請求する意思がある旨を明確に伝達することはなかったものと認められる。
(2)上記(1)の事実に加えて,前記1の認定事実によれば,〔1〕原告と被告らとの間に親族関係があること,〔2〕被告らは,従前から,Eの介護のために本件建物に居住するなどして占有していたものであり,このこと自体は原告も是認していたこと,〔3〕Eが死去した後,原告と被告Bとの間で,本件建物及び本件土地を被告Bが買い取るか否か,本件建物及び本件土地を第三者に売却して精算するか否かが協議されていたものであること,〔4〕原告は,沖縄県石垣市に生活の本拠を置いており,本件建物に継続的に居住する必要性は乏しかったこと,〔5〕本件建物の敷地である本件土地についても,使用料の要否等は特に協議されていなかったこと,〔6〕原告は,平成17年以降,被告Cと直接メールを授受し,納税通知書の転送を依頼するなどしているが,その際にも被告Cが本件建物に居住していることを問題として指摘はしていないことなどの事実が認められる。
(3)これらの事実を総合考慮すれば,遅くとも平成16年1月ころまでには,原告と被告Cとの間において,「本件建物及びその敷地である土地の処分が決まるまで」という不確定期限(本件不確定期限)のある黙示の使用貸借契約(本件使用貸借契約)が成立したものと認められる。そして,本件使用貸借契約は,Eの死亡時にさかのぼって,被告Cに本件建物全部の使用を許諾する趣旨のものであったと解すべきであり,このような内容を有する使用貸借契約が被告Cとの間で締結されたことによって,被告Cの占有のみならず,被告Bの占有もまた,正当な権原に基づくものになったと解するのが相当である。
4 争点(3)(本件使用貸借契約の終了)について
 前記1(6)ないし(10)の認定事実によれば,原告と被告Bとの間では,平成15年4月以降,本件建物及び本件土地を被告Bが買い取るという前提で処分を行うことが協議されていたが,被告Bは,上記買取りを行うことを断念し,平成17年4月には,本件建物及び本件土地を第三者に売却して処分することを提案したこと,その後,平成21年10月に原告代理人を通じた交渉が開始され,被告Bが査定報告書を入手するなどして条件の調整がされたが,協議はまとまらず,平成22年6月30日に本件訴えが提起されるに至ったことが認められ,これらに照らせば,本件訴えが提起された時点において,「本件建物及びその敷地である土地の処分」が原告と被告Bとの間の協議により決定できないことが明白になったものと認められるのであって,この時点で本件不確定期限が到来し,本件使用貸借契約は終了したものと解するのが相当である。したがって,被告らは,同年7月1日から平成24年2月8日までの間,それぞれ正当な権原なく本件建物を占有したものであって,この間における賃料相当損害金を連帯して支払う義務を負うものというべきである。
5 争点(4)(賃料相当損害金の額)について
 証拠(甲5)によれば,本件建物と同等の物件を賃貸した場合の賃料の額は,おおむね月額15万円程度になるものと認められる。もっとも,被告らの占有が本件建物全体に及んでいたものであるとはいえ,本件建物には原告の家財道具も多数残置されていたものであることを考慮すれば,本件建物に対する被告らの占有に係る賃料相当損害金の額を月額10万円と認めるのが相当である。したがって,平成22年7月1日から平成24年2月8日までの間の賃料相当損害金は合計192万7586円となる(平成22年7月から平成24年1月まで19か月分が190万円となり,同年2月の8日分が10万円×8日÷29日=2万7586円(1円未満は切り捨て)となる。)。