166 エッヂの名無し (L20 o6rR-6C6u) 2024/11/22(金) 16:47:39.546 ID:JHBX4NZkd
>>154
第20回ジャパンカップの直線。先に先頭に立った宿敵メイショウドトウを、和田竜二はしっかりと射程に入れた。視界は開け、一直線に伸びた真緑の芝生、視線のはるか先ではあるが、栄光のゴールが見える。もうテイエムオペラオーを邪魔する者はいない。ラスト200メートルのところで、和田は満を持して、ドトウを捕らえにかかる。宝塚記念、天皇賞・秋と続けて、オペラオーが後塵を浴びせている相手だ。脚はだいたい測れている。
「かわせる」
和田には確信があった。追いだしにかかると、並ぶ間もなく抜け出した。刹那、手綱から伝わる気力、体力がなえた。宿敵を退けて気を緩めたのか、はたまた岩元が危惧した向正面での気のはやりが体力を消耗させたのか? オペラオーの脚色が鈍る。その時、外からすさまじい風圧をも感じさせるほどのムチがしなる音が聞こえた。和田も負けじと懸命に右ムチで叱咤する。オペラオーは後続をちぎり捨てる速い脚があるわけではない。最後方からごぼう抜きするような鋭い脚があるわけでもない。そうした派手な個性はないが、オペラオーにはどの馬にも勝る無尽蔵のスタミナと、並んだら抜かせない勝負根性がある。これこそが、オペラオーにとって最強の個性だ。和田の耳に届いたムチの音はオペラオーにも気配として感じさせた。
いま一度、闘志が点火されて最後の力を振り絞った。3頭の火花散るデッドヒートの末、オペラオーが虎の子のクビ差を守り抜いた。しびれる攻防を制した和田は、言葉にならない興奮と燃え上がる気迫のままに、感情を右の拳に込めて、前へ突き出し爆発させた。
「Congrats!」
外から声がした。和田が振り向くと、手を差し伸べられた。和田もその手を握り返す。声の主はデットーリだった。
「デットーリに勝った」