16 エッヂの名無し 2025/07/08(火) 22:38:30.486 ID:eQOSWc3on
意匠法の26条に関する理解について、混乱されている点があるようですね。
まず、結論から申し上げると、ご指摘の「抵触するなら実施できないんじゃないの?」という疑問は、非常に鋭い指摘です。しかし、意匠法の26条と、その後の記述である「先願の意匠権者のみが独占的に実施できる」という内容は、一見すると矛盾するように見えますが、実はそれぞれ異なる状況や原則を説明しています。
順を追って説明させていただきます。
意匠法26条と「抵触」について
意匠法26条は、**「登録意匠に係る意匠権の効力は、その登録意匠及びこれに類似する意匠の実施にのみ及ぶ」**と規定しています。
ここでいう「抵触する」とは、ある意匠(ここでは意匠C)が、他人の登録意匠(ここでは登録意匠AまたはB)の権利範囲(登録意匠そのもの及びこれに類似する意匠)に含まれることを意味します。
したがって、ご認識の通り、意匠Cが登録意匠AまたはBに類似する場合、意匠Cを実施することは、登録意匠AまたはBの意匠権を侵害することになり、原則として**実施できません。**これが「抵触する」ことの本質です。
「先願の意匠権者のみが独占的に実施できる」について
この記述は、複数の登録意匠が存在し、それらが相互に類似する場合の権利行使の優先順位に関する原則を説明していると考えられます。
ここでいう「先願」とは、複数の意匠出願があった場合に、一番初めに特許庁に出願した者を指します。意匠法では、原則として先願主義が採用されています。
ご質問のケース(登録意匠A、Bがあり、そのいずれにも類似する意匠C)を例に考えると、
* もし意匠Cが、登録意匠Aにのみ類似し、登録意匠Bには類似しない場合、意匠Cを実施するには登録意匠Aの意匠権者の許諾が必要です。
* 同様に、意匠Cが、登録意匠Bにのみ類似し、登録意匠Aには類似しない場合、意匠Cを実施するには登録意匠Bの意匠権者の許諾が必要です。
では、意匠Cが、登録意匠Aと登録意匠Bの「両方」に類似する場合はどうなるでしょうか。
この場合、意匠Cを実施しようとする者は、登録意匠Aの意匠権者と登録意匠Bの意匠権者の**両方から許諾を得る必要が生じます。**なぜなら、意匠Cの実施は、登録意匠Aの権利も登録意匠Bの権利も侵害することになるからです。
そして、ご質問の「先願の意匠権者のみが独占的に実施できる」という記述は、このような複数の登録意匠が関連する場合の権利の調整を説明している可能性があります。
例えば、登録意匠Aが先願であり、登録意匠Bが後願であるとします。そして、意匠CがAにもBにも類似するとします。
この状況で「先願の意匠権者(Aの意匠権者)のみが独占的に実施できる」というのは、後願であるBの意匠権者は、Aの意匠権者が実施している(または実施を許諾している)範囲において、自身の登録意匠Bの権利を行使してAの意匠権者の実施を止めさせることができない、という原則を指していると考えられます。
つまり、後願の意匠権者は、自身の登録意匠Bの実施については自由に行えますが、先願の意匠権Aの権利範囲に抵触する範囲では、先願の意匠権Aを排除する力はない、ということです。
まとめると
* 意匠法26条の「抵触」:ある意匠が他人の登録意匠の権利範囲に該当する場合、その登録意匠の権利を侵害することになり、原則として実施できません。これは、侵害の有無を判断する基準です。
* 「先願の意匠権者のみが独占的に実施できる」:複数の登録意匠が存在し、それらが相互に類似する場合の権利行使の優先順位を示しています。特に、後願の意匠は、先願の意匠の権利範囲を排除できない、という先願主義の原則に基づく考え方です。後願の意匠権者は、先願の意匠権者の実施を差し止めることはできません。
したがって、意匠Cが登録意匠AとBの双方に類似する場合、意匠Cを第三者が実施するには、AとBの双方の意匠権者の許諾が必要です。
「先願の意匠権者のみが独占的に実施できる」という記述は、AとBの権利者がいる場合に、Aが先願であるならば、BはAの権利を侵害するようなCの実施を止めることはできない、という意味合いで解釈されます。
このあたりの解釈は、意匠法の専門的な知識や判例の理解が必要となるため、ご質問の「本」に書かれている内容の文脈全体を把握する必要があります。もし可能であれば、その本の該当箇所の詳細や、どのような事例を説明しているのかを教えていただけると、より的確な回答ができるかもしれません。
ご不明な点がございましたら、お気軽にご質問ください。