2 エッヂの名無し 2025/08/14(木) 17:05:43.110 ID:TbikkXfHq
俺たちが出てきた皇居の外では、燃え盛る宮殿の炎が空を赤く染めていた。灰色の空に黒い煙が立ち上り、民衆の叫び声が遠くまで響き渡っていた。田中一郎、15歳。俺の手にはまだ温かい小銃が握られ、血と汗で濡れた顔に冷たい風が吹きつけた。仲間たち――飢えた農民、工場の女たち、そして少年兵だったやつら――もまた、呆然と立ち尽くしていた。誰もが信じられなかったんだ。天皇が死に、皇居が燃えちまったなんて。
だが、喜びも束の間だった。遠くから聞こえてきたのは、軍靴の響きとエンジンの唸り声。東條英機は死んだが、帝国陸軍の残党はまだ生きていた。奴らは天皇の死を知り、復讐と秩序の回復を叫びながら俺たちを追ってくる。数百に膨れ上がった民衆の群れは強かったが、装備も訓練もまともじゃない。俺たちは自由を手に入れた瞬間、次の戦いへと引きずり込まれた。
「一郎、どっちへ行くんだ?」隣にいた少年兵の三吉が震える声で聞いた。奴の目は怯えと決意が混じった光を放っていた。俺は一瞬考えた。逃げるか、戦うか。だが、母親のやせ細った姿が脳裏に浮かんだ。「もう逃げねえよ。ここで終わらせる。」俺はそう言い、小銃を構えた。
民衆の中から年寄りの百姓が前に出た。手に持つのは鍬と鎌だ。「坊主、この国を変えるなら、今やらなきゃならねえ。俺たちゃ腹を決めたよ。」その言葉に、工場の女たちも頷き、手製の爆弾を手に持つ。俺たちは焼け跡に陣取り、軍の残党を迎え撃つ準備をした。