244 エッヂの名無し 2025/08/25(月) 04:04:38.803 ID:LUsrl5won
「終わった…」
幸は天を仰いだ。スティルが力負けしたとしても、自分に次はないと覚悟していた。それなのに自分の未熟さで負けたのが明白だ。
「安藤さんは後ろにも目がついているのか」
後ろを振り返るそぶりなど一度もなかった。気配だけで、あんなドンピシャのタイミングで馬を寄せることなんてできるのだろうか。
「今でもわからないです」
G?で通算23勝(JRA7勝・地方16勝)をマークし超一流に達した今でも、あの時の真偽はわからないという。当時の幸は、その技の歴然とした差を悔やんだ。それと同時に敗北の現実が、G?への高まる希望を断ち切った。
「スティルは、絶対に桜花賞を勝つだろうな」
それは確信できた。一番大事な場面で騎手が大きな失敗を犯しながらも、馬はそこから立て直して僅差の2着になった。普通にさえ乗れていれば、楽に勝てていたに違いない。
「桜花賞では、もう僕は乗っていない…」
馬を止め、検量室に戻ってくるまで幸はその現実を受け入れるために心の整理をし始めていた。
ふと、調教師の松元省一の顔も浮かんだ。世間的には厳しいことで知られている調教師だが、幸はまだ叱られたことはなかった。とはいえ、これほどの馬に乗せてもらいながら、あれだけ下手に乗ってしまった。怒られないわけがない。そう考えると、引き揚げるのもおっくうになる。“嫌だ、戻りたくない。この背中の上にずっといたい”。幸は「このまま、この子(スティルインラブ)と、遠くへ逃げたい」。
恋愛ドラマのような駆け落ちを考えるほどだった。
https://tospo-keiba.jp/miyukihideaki/29046
ここからどれだけ話膨らませるんや