●見なくなった冠名 (1002)

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402 それでも動く名無し (ワッチョイW 75eb-GXzk) 2023/02/26(日) 20:06:07.25 ID:A/cX36tN0

2023年2月26日、出資馬レッドテンペストが初勝利を目指して迎えた阪神未勝利、鞍上鮫島駿が直線でとらえかかけると届かない騎乗…またも2着の連敗だった…

競馬場に響く俺のため息、どこからか聞こえる「こりゃ未勝利脱出無理だな…」の声…
無言で帰る口取り当選した出資者たちの中、ワイは阪神競馬場スタンドのベンチで泣いていた…

角田大河で栄光を手に仕掛けた新馬戦、勝ち上がりへの希望、感動…そして何より信頼できる人たち…
それらを手にすることは一口馬主という身分には不可能といってよかった…「どうすりゃいいんだ…」ワイは涙を流し続けた

どれくらい時間が経っただろうか、ワイははっと目覚めた…
どうやら泣き疲れて、眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した…

「やれやれ、帰って愛馬情報と調教師コメントのチェックしないとな…」ワイは苦笑いしながら呟いた…
立ち上がって背伸びをした時、ワイはふと気づいた…
「あれ…?スーツの東サラ関係者達がいる!?」
ウィナーズサークルへ向かったワイが目にしたのは、ウィナーズサークルの中に満面の笑みを浮かべたレッドテンペストの関係者たちだった…
フラッシュなしでシャッターが切られ、地鳴りのような歓声が響いていた…

どういうことか分からずに呆然とするワイの背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた…
「ダービーには間に合いそうですね!」
声の方に振り返ったワイは目を疑った…
「葦沢社長…今日は中山じゃ?」
「なんだワイさん、寝ぼけてるんですか?」
「大河くん…今日は別馬騎乗なのに…」
「なんだワイくん、勝手に大河を降ろしやがって」
「笹田先生…」

ワイは半分パニックになりなら出馬表を見た…レッドテンペスト以外の馬の騎手が皆力士達であった…
暫時、唖然としていたワイだったが、すべてを理解した時、もはやワイの心には雲一つなかった「勝てる…勝てるんだ!」

東サラスタッフから口取りの紐を渡され、写真を撮るワイ…その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった…

翌日、阪神競馬場のスタンドのベンチで冷たくなってるワイが発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った