402 - 来世はカメムシ 2024/02/28(水) 19:01:51.62 ID:jl4gg2jq0
脳破壊パートも書いたわ😡😡
「あ、来た来た! 天ちゃん千代ちゃん、こっちだよー!」
メガシネマ里ヶ浜の入口に付いた天と千代を柚が手招きする。レイファは待ち合わせ時間より少し早く到着しており、二人の到着でこの日のメンバーが揃った。
「ごめんね小鳥遊さん、天ちゃんの髪のセットに時間がかかって」
「おい千代、余計な事を言うな。そもそもあーでもないこーでもないしてたのはお前だろ」
天と千代がいつものじゃれ合いを始めるのを余所に、レイファは視線をタブレットから柚へと移した。
「ところで小鳥遊、今日は何故このメンバーで?」
「ごめんリンちゃん、やっぱり忙しい?」
レイファのタブレットの画面に映し出されているのは先日の練習試合のスコアブックやビデオ。地蔵から頼まれていた分析だ。
「別に構わないが、今日見る映画」
タブレットでブラウザを操作し、映画情報ページを指差すレイファ。
「私達が興味を示すような映画ではないと思う。どちらかと言うと真白が好みそうな映画じゃないか?」
級友の指摘に柚は苦笑いを浮かべる。レイファの言う通り、映画のジャンルは3人の興味とは若干離れていた。
「あ、あはは……それは……玲ちゃんは誘ったんだけど、今日は無理って」
「ふーん、じゃああたし達は代わり、って訳か」
千代と言い合いを終えた天が口を挟む。
「い、いや…そんな訳じゃないし…」
「ちょっと面白くねぇな」
「て、天ちゃん……そんな事言わないで。小鳥遊さんも色々悩んだと思うよ。ほら、欲しかったお子様ランチが売り切れだったけど折角レストランに来たんだから代わりに何食べようって悩むみたいに……」
「言い方ァ! ってかなんでそんな昔の事覚えてるんだよ!」
「ところで小鳥遊、今玲って……真白か?」
またいつものパターンになる二人を再び余所に、レイファは柚に言葉を向けた。
「うん、そうだけど……」
「私、ここに来る途中彼女を見かけたぞ」
「え…? ま、まあもう他に予定があるだけかもしれないし……」
行先が偶然この近くなだけかもしれない。柚は自分にそう言い聞かせる。
「あ、そう言えばあたしも見かけた。そうだろ千代」
ポン、と手を叩く天。彼女の促しに千代も頷く。
「うん、いたいた。でも隣にいたの、あれ地蔵先輩じゃなかった?」
「え……?」
千代の言葉で、柚の顔から苦笑いが消えた。玲と。地蔵が。二人で。つまり。
「お前もそう思ったか? 声かけてみればよかった」
「しょうがないよ、私達も急いでたんだから」
「二人共なーんか嬉しそうな表情だったし、邪魔するのも悪いしな。って言うか、あんなワンピース着るんだな、あいつ」
「うん、なんか色合いがアマガエルみたいで……」
「だから言い方ァ!……おい小鳥遊、どうした? 顔真っ白だぞ」
柚の頭の中は既に真っ白、顔面も蒼白。二人の会話は全然頭に入ってこない。
「……ごめん。私ちょっと…」
帰る、の言葉も絞り出せず、柚はよろよろと、覚束ない足取りで映画館から立ち去った。
「小鳥遊!」
レイファが呼び止め、後を追うが、柚は反応出来る状態になかった。
残された天と千代。
「びっくりしたな、あんなにダメージ受けるなんて」
「そ、天ちゃんだって見た時は凄い表情してたよ。まるで変身アイテムの力が封印された変身ヒーローみたいな……」
「今日三度目だけど言い方ァ! それでどうするんだよ、小鳥遊もリンも行っちまって」
「うーん、じゃあこの戦隊映画面白そうじゃない?」
「千代、お前バカにしてるだろ」
「でも天ちゃんこう言うの好きだよね」
「……せっかく来たんだし、二人で見るか」