脳食願望 (15)

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5 名前が出りゅ!出りゅよ! 2015/08/08(土) 18:32:05 ID:DCip/nlY

残りの脳を急いでかき混ぜてしまうと、ボウルにドライアイスを入れ、その上からエタノールを注いで寒剤を作った。別のボウルを弟の頭の辺りに持ち上げると、体をゆっくりと倒して、かき混ぜた脳を注ぎ込んだ。
それを寒剤の上に乗せ、手早くかき混ぜる。しばらくすると次第に手ごたえが固くなり、脳は完全に凍ってしまった。それを切り出してかき氷器に装着し、グルグルとハンドルを回す。ガラスの器の中に、シャーベット状になった脳が注ぎ込まれた。
たっぷりと山盛りに注いだら、仕上げにジュースを上から万遍なく注ぎ込み、先ほど脳をかきまわしたスプーンを添える。自らの仕事に満足しつつ、ゆっくりとスプーンを取り出し、上に乗った氷を、一気に口の中に運ぶ。
舌の上に乗った脳氷はあっという間に溶けた。ジュースの酸っぱさと共に、何やら不思議な味がくる。少し苦く、それでいてほんのり甘いような、大人な雰囲気を感じる味だ。
正直言ってあまりジュースとは合わなかったが、脳味噌の味が口の中に広がり、おいしいです。
シャキシャキをシャクシャク。かき氷を口に運ぶたびに、冷たさが一気に頭頂部まで上り詰める。これが弟の感じた感覚だろうか。脳に感情が保存されているなら、この氷の味が、きっと弟の全てなんだと思う。
暑さは当に考えの外になっていた。ただ僕の頭の中は、一口目に感じたミステリアスな味を思い出しながら、脳に直接のぼる冷ややかな感覚を噛みしめる事に支配されていた。
一言で表現するなら、桃と同じといえるだろうか。一口目が一番うまい。