5 名前が出りゅ!出りゅよ! (sage) 2015/09/09(水) 01:58:09 ID:WlTv6wKI
いつも通り始業準備を終えた事務所に、いつも通りではない男が飛び込んできた。
「おお貴洋!今日はやけに早いじゃないか、普段は重役出勤を満喫しておるのに。ただ、なんだ、服装はもう少し整えた方が良いぞ。」
「洋、質問があるナリ。」
「な、なんだ貴洋!親を名前で呼び捨ておって!」
「厚志はどこナリ。」
「おっ、おお何だ、まーた厚志の事か、いつも言っとるだろう、弟はいつもお前の中におると。」
「嘘ナリ、厚志はいるナリ。」
「貴洋?」
「当職は僕は優秀な当職の弟の厚志ナリ。無能で、悪い者に壊された貴洋なんかじゃないナリ。」
「た、貴洋…違う、よく聞け、お前は厚志じゃない、貴洋だ!」
「当職は悪い者に当職の厚志の僕を返して貰いに行くナリ。」
「待て、待つんじゃ!貴洋!」
洋は机から注射器を引っ張り出すとスーツの男の首筋目掛け突き立てた、刹那、注射器は粉々に砕かれ、洋の顔面に内容液が飛散した。
「麻酔ナリか、どっちにしても当職には効かないナリ。」
「貴洋、厚志、待て、待ってくれ…。」
洋は朦朧とする意識の中で貴洋と厚志の混ざった様な声を聞いた。
「洋、今までありがとうナリ、でも、お別れナリよ。」