全知 (69)

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1 名前が出りゅ!出りゅよ! (sage) 2015/10/25(日) 22:23:59 ID:XYGsQMt2

「くそっ、このガキどもが……っ!」

画面に向かい悪態をつく。

はじめは掲示板を荒らすだけのつもりだった。
しかし、IDを使い分け、相手役を自ら行って煽っていた結果、数と速度を重視する余り起きてしまったミス。
自らの日本語の不備を突かれ、売り言葉に買い言葉でレスをしてしまったのがすべての間違いだった。

掲示板には、自らへ向けた性的な罵倒が並ぶ。

「法ガイジのアナル犯したい」
「法ガイジを親の前でスパンキングしたい」

初めの内は、”法ガイジ”という罵倒語が自らに向けたものではないと頭では考えるようにし、
この煽り耐性のないガキどもと同じようにはならぬと思っていた。

しかし、言葉を交わす内、俺の中で『法ガイジ=自分』という認識が出来上がってしまった。
そんな中、ある書き込みが投稿された。

「法ガイジは全知なんだから、アナルを犯される感覚ぐらいわかるだろ」

こいつらを蟻とバカにしてきたが、蟻によって堤が崩れる事例もあるのは故事にある通り。
所詮はたったの一言だが、俺の中に蟻の穴を穿つのには十分だった。

……俺が全知だったら、想像するだけで乳首がシャツに擦れる快感が襲い、
この書き込みを見ればアナルを犯されてアクメする感覚にやられるのだろうか。

ぶるり、と身震いし、俺の内なる欲求に、恐ろしいまでの一撃が加えらたことを自覚する。

俺が全知なんてことはあるわけがない。
こいつらを煙に巻くために、口からでまかせで出した言葉の言葉尻を捉えて貼られたレッテルだ。
しかし、今こいつらが書き込んだ一言が俺の心に針のように刺さり、それが感覚を鋭敏にしていることも確かだ。

淫靡な想像によって、不意に自らの股間がビクンと脈打ち、生唾を飲み込む。

「俺が、俺にそんな趣味なんかあるわけがない」

自分の気持を押さえるように胸元を掴むと、意図せずシャツが乳首を擦り、
刹那先ほどの想像が去来して、その感覚をやけに鋭敏に感じてしまう。

「……っ!!」

少し熱を持ち始めた陰部から興味をそらそうと、掲示板でのレスバトルに目を移す。

「法くんにフリフリの服着せたい」
「輪姦して出産させる」

相変わらずの罵倒が並ぶが、先ほどの感覚を引きずっているせいか、その光景が想像できてしまった。
自らが女装した状態で犯され、子宮がないはずなのに孕ませようと中出しをされ、無様に喘ぎ、尻への快感で射精する。
そんなことがあるはずがない。
しかし何だこの感じは、下半身が熱くなっている。

気がつけば勃起していた。