3 3/3 (sage) 2016/03/13(日) 11:43:46 ID:cAEKgUDo
快感の波が僕の思考をくるくるとかき混ぜる、それは思考の濁流を白く赤く透明に濁らせていこうとする、ああ理性はもう押し流されそうだ。
僕が僕としてこの表情を歪めて先端を破裂させ、白い液体を、少し黄ばんだ欲望に比例した液体を放出する、そのとき僕はただひとつの肉体になれる。
そのためにはこの手が、この男が必要なのだ、醜く太った男、ぶくぶくの不惑前の中年男、その肥えた指、ナメクジみたいに汗ばんだ指、湿り気を帯びた指。
僕という人間を実際的な物体、すなわち「有機的な生命体」として消化してくれるのは、この男のその体だけなのだ。
歪んだ青春で歪んだ理想を追い求める歪んだ男の歪んだ笑み、そのいびつな曲線こそが、刺激こそが、僕の歪んだ性癖とぴったりと、ちょうどパズルのピースをはめこむみたいに合わさって、そうだ、僕の存在証明として働き始める。
すまない精子たちよ、生物学的な観点から僕は謝罪したくてたまらない、僕はきっと一生、本当の意味できみたちを放出することなどないのだ。
だってこれを繁殖行動とは到底呼べないだろう、男が男の手によって射精に導かれたところで、それが何の意味があるというのだ、ひどく無意味な行為だ、自慰の方が余程マシかもしれないじゃないか。
だけれど、この醜く歪んだ男の笑み、アシンメトリな左右の瞳、生温かい指の感触、そいつだけが僕を完全な有機体としてこの世界に存在させてくれるのだ。
肩書など消え、名前さえもうしなって、ただの一個の肉体、肉欲におぼれるひとつの生命になるとき、その刹那だけが、僕が僕の本質をむきだしにできる唯一の時間なのだ。
ああ、もうすぐ僕は3億の精子を放出するんだろう、先端を破裂させてしまうんだろう、ドロリとした粘液質な液体が噴き出して下着をひどく湿らせてしまうんだろう。
小男は指についたそれを舐めて歪んだ笑みを浮かべるだろう、媚びたような、小ばかにしたような、憎くてたまらないような、愛したくてたまらないような、死ぬほど腹の立つ死ぬほど素敵な笑み。
そいつを見て僕はきっと欲情する、今以上にひどく欲情する、ぐったりとした僕のそれに再び血が満たされるまでそう時間はかからない、そうして理性をかなぐり捨てた僕らはひとつになって、またしても快楽の河に押し流されていくのだろう。
なるほどそれはひどく歪んだカタチだ、世界中からクスクス笑われてしまうような気分だ、だけれど同時にどこまでも完全な《いびつ》なのだ。