9 00 2016/04/16(土) 16:43:08 ID:PmGuI22A
ギイイイイイイン
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パチパチ・・・
10:45 会長室に入る
11:45 帰宅
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現代社会において、記録されないというのは不可能だ。
アポロ計画の後にある計画が秘密裏に動いていた。それこそがハイパー・メモリー・フロンティア(以後HMFと表記する)の打ち上げ計画である。
HMFはロケットの打ち上げ実験や気象衛星、時にはミサイルという名目で各国が連携して宇宙に向け発射したものである。
HMFとは人類の今までの記録をすべて電子的に保存する巨大な図書館と言ってもいい。図書館と違う点は、物理的に保存するのではなく電子ファイルとして保存するので膨大な量の記録に保存が可能で、さらにはそれらの運用も容易な点である。
しかも過去の記録はもちろんのこと、現在進行形で世界を記録することができる。例えばそれは産まれた赤ちゃんの名前であったり、監視カメラの映像であったり、ネットでの書き込みであったりする。
私はこのHMFを利用し、人間の電子化実験と現実とのリンクAIの開発実験を成功させた。
唐澤貴洋の身体データ・過去のすべての記録をHMFに記録させ、電子上でそれらを再現する。データ不足な個体はバグを起こしたが、それでも複数の個体の電子上での運用は成功した。
長谷川亮太のAIでは監視システムとHMFとのリンク性が証明され、物質界と電子界の可能性を広げるための大きな一歩になった。
今まで人類は管理・支配する者とされる者に分かれてきた。だがこれからの時代、人類にそれらの壁はなくなり皆が平等に管理される世界になるだろう。
スポーツ選手も、アイドルも、大金持ちも、ホームレスも、いかなる権力者もこの管理からは逃れられない。もちろん私も。
監視カメラが純粋な瞳を私に向けている。私にはそれを見つめ返すことしかできなかった。
おしまい