エゴロジー (12)

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2 山本 祥平 2016/04/19(火) 23:22:17 ID:ijgHyjpo

結局は金で動く安い男、いや、安い駒としてしか俺は見られていないのだろう。社会の大きな流れの前では人ひとりの行動や思念なんて何の影響もない。結局はパラダイムに支配され、民主主義の名のもとにパラドックスを孕んだ道を人々は歩むしかない。
話がまとまらないのは私が非常に、いや、非常事態に動揺しているからであろう。いきなり「@@@@を守れ」と言われてもどうすることもできない。何の脅威から@@@@を守るのかさえ伝えられずにただ大金を渡され命令された。
目も眩むような大金だった。いや、実際に眩んだ。俺はただの歯車として舞わされ、自分が何をどうしたのかも知らずに生きていくのか。そんなことは嫌だ。
俺が弁護士になった理由は、法で真実を暴くためだ。決して同僚のデブを守るためではない。なかった。

結局言われるがままになった。「わからないままなんて そんなのはいやだ」 アンパンマンという作品にはキャラクターが比較的多く登場する。が、それらのキャラクターのどれにも似ていない人物が現実には多くいる。特に@@@@は、カビルンルンという悪役キャラクターにも劣る人間の屑だ。
元同僚兼現同僚であるが、@@@@が大袈裟に言って死んだところで俺は嫌な思いをしない。
そんな@@@@をある日俺を呼び出してきた大物会長が守れと言ってきた。困惑・唖然とする俺に対しその人物は「事情は訊くな、とにかく守れ」そうピシャリと言うとそのまま俺を帰した。

ここで突然の告白だが、俺は超能力が使える。物を自由自在に変形させることができるのだ。例えば固い鉄の棒を簡単に曲げたり、ガラスを割らずに変形させたり。
昔はスプーン曲げで友達に自慢したりしていたが、だんだん自分の力が怖くなってこの能力を次第に使わなくなっていった。
代わりに、13の時から法律を熱心に勉強し始めた。特殊な力ではなく法の力を身につけたい。これも弁護士を目指した理由の一つだ。
もしかすると、俺に命令してきた会長は俺に超能力があることを知っているのかもしれない。
成人してからはほとんどこの能力を使ったことはなかったが、何度かこの能力を使いこなすため公園で練習したことがあった。これを誰かが見て、その情報を会長が知ったのかもしれない。
単なる憶測で、可能性に過ぎないが。

守れという言葉が 物理的に危険なこと(例えばトラックに轢かれるだとか)からなのか、社会的に・精神的に危険なこと(裁判で負けたり)からなのかが肝だろう。
普通に考えれば後者だが、会長は様々な権力者や情報網と関わりを持っていると聞く。
これでもし@@@@を俺が守れなかったら会長から何をされるかわからない。が、守れば会ったときに貰った大金をそのまま貰えるだろう。
どちらを選ばなければならないのかは明白だ。が、歯車として動かされる抵抗感が俺の心にある言葉を囁く。

「唐澤貴洋殺せ」